幼馴染♀(27)「へーまだ独身なんだぁw 奇遇だね! 私も私もっ!」【安価】

1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:34:16.308 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「そろそろ本気で結婚相手探さないとなぁ…」

幼馴染「でもこの歳になると…ね?」

幼馴染「なかなか気心知れた相手を見つけるってのが難しくてさぁ」

幼馴染「君もそう思うでしょー?」

幼馴染「友達の結婚式素敵だったなぁ。私にもあんな相手がいたらなぁ…」チラ


どうする…

20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:37:55.914 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「しってるよー? 君っていま彼女すらいないんでしょ」

幼馴染「この前おばさんに会った時に聞いたw」

幼馴染「やだねぇー私たちいい年してひとりもん同士じゃん」

幼馴染「私なんてさぁ、いまいないどころか……そもそも彼氏いたことすら…」

幼馴染「いやー散々告られたりはしてきたんだけど、なーんか違うなぁって思ってね」

幼馴染「全部断ってるうちにこんな歳に…」

幼馴染「やっぱ付き合うなら初恋の人がいいなー…」


どうする…
32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:40:06.787 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「え? 初恋の人って…?」

幼馴染「ばっかぁもう、言わせる気?」ゴスゴス

幼馴染「内緒」

幼馴染「でもその人まだ独身なんだぁ♪ だからチャンスあるかなーって」

幼馴染「んーー? わかんないのー? ふふふ、内緒」


どうする……

38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:42:42.740 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「なんだかんだで、ひさしぶりだよねこうして話すの」

幼馴染「社会人になってから結構疎遠の期間長かったもんね」

幼馴染「近況はたまーにおばさんに電話で聞いたりしてたんだけどね…」

幼馴染「なんか君に直接連絡とるの…恥ずかしくなっちゃって」


幼馴染「あ、そうだ! 私しばらくこっち戻ってきて生活するから、そろそろ腰を落ち着けたいなー…って」

幼馴染「おもってるんだけど」

幼馴染「こんな田舎じゃそうそう相手がみつからなくってさぁ! あははは…」


どうする……
47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:44:31.685 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「同級生のSNSみてると凹むわー」

幼馴染「だってほとんどみんな既婚だよ!? 素敵な旦那さんつかまえてるんだよ!?」

幼馴染「幸せそう~~~」

幼馴染「うらやましい~~」

幼馴染「そろそろ結婚したい~~」

幼馴染「でも相手がい~な~い~~~」

幼馴染「……いない」


どうする……
52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:47:12.262 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「やっぱ結婚するなら、気があう人がいいよね!?」

幼馴染「一緒にいて疲れないっていうかさ、落ち着くっていうかね」

幼馴染「そうなってくると…やっぱ付き合いが長い相手がいいよね?」

幼馴染「なんかもうすでに半分家族だよーみたいなw」

幼馴染「良いとこも嫌なとこも全部わかってるしさ」

幼馴染「そういう人が身近にいればいいんだけどな~~~??」チラ


どうする……
63: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:49:12.485 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「大人になるとさぁ、まずは体の関係からみたいな考えの人多くなるよね」

幼馴染「私そういうの絶対無理だから…ちょっと男の人が怖くって…」

幼馴染「あはは子供っぽいよね…」

幼馴染「でも…やっぱり本当に結婚を考えられるくらい心の底から好きで頼れる人とだけ、そういうことしたいなって」

幼馴染「おもってる…」

幼馴染「へんかな…?」


どうする……
69: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:52:13.022 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「いままでね、すっごくアタックしてくれた人はいるんだよ」

幼馴染「別に顔だって悪くないし、仕事が出来てお金ももってるし、いい人だったんだけど」

幼馴染「どこか下心があるっていうか…」

幼馴染「そういうの私ちょっと敏感で…」

幼馴染「本気で私のこと好きなのかわからないのにお泊りなんて行きたくないし」

幼馴染「結局お断りしちゃった…その人その後すぐ若い子と結婚したよ…」

幼馴染「それ以降かなーり男性不信……」

幼馴染「安心できて誠実が人がいいな…」チラ


どうする……
72: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:53:53.507 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「あの…よければさ」

幼馴染「あ、明日も会ってお話出来ない?」

幼馴染「あーいや忙しかったらいいんだけどっ!!」

幼馴染「いまさらただの幼馴染の私なんかに時間割いてる場合じゃないよね!?」

幼馴染「……会ってくれる?」チラ


どうする……

79: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:56:29.479 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「だめだよね…」

幼馴染「だってこの歳で二人で会うって…はたからみてデートだもんね…?」

幼馴染「君からしたら体裁わるいよね…」

幼馴染「でも…幼馴染だからいいのかな? どうなんだろう…一応異性なんだけど」

幼馴染「……ねぇ、私のこと、女としてどう思ってる…?」

幼馴染「一言くらい、なにか言ってほしいな」


どう思う…>>85
85: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 13:56:58.679 ID:YJjq8D1jd
魅力があるのに下心抱くなってのはすごく自己中だな
こいつ子供産んだあとはもういらないよねって去勢させてくるだろ
99: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:00:47.362 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「えっ…み、魅力ある!? 魅力あるって言った!?」

幼馴染「ほんと……?」

幼馴染「下心は……好きな人がそう思うのは…嬉しいかも」

幼馴染「全然好きでもない人に下心もたれても困っちゃうし気持ち悪いけど…私の好きな人なら全然いいかな…」

幼馴染「むしろ、女の子として見てくれてるんだぁって安心…」

幼馴染「将来子供はほしいな…」

幼馴染「子供つくる行為はしたことないから好きかどうかわからないけど」

幼馴染「たぶん…好きな人とくっつけるのは幸せだとおもうとっても」


どうする…
110: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:04:09.844 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「君は…私のことどう思う…?」

幼馴染「たしか私が初恋の相手なんだよね? そういってたことあったよね」

幼馴染「…いまでも、好きでいてくれたらうれしいなあ」


どうする…>>115
115: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:04:50.507 ID:mEYoncNM0
結婚
120: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2017/04/15(土) 14:09:00.754 ID:zdj+iI9p0
幼馴染「!!」

幼馴染「え…け、結婚する!? 結婚する!?」

幼馴染「ちょ、ちょ、まって…深呼吸させて」

幼馴染「はぁーー」

幼馴染「結婚するって言った!?」

幼馴染「うんしよう! すぐしよ!!」

幼馴染「お付き合いは…まぁすっとばしていいよね私たちの仲なんだし!」

幼馴染「いまさら交際してお互いを知っていくー…なんてことも必要ないよね!!」

幼馴染「やったー結婚しよ! 大好き大好き!」

幼馴染「プロポーズってことでいいんだよね!?」

幼馴染「明日おばさんたちに会いに行くね! うちにも挨拶きてね!」

幼馴染「あ、そうだ婚約指輪買ってくれるかな!?」

幼馴染「私ね、カルティエの指輪(100万)がほしいんだぁ!」

幼馴染「あと結婚式は派手にしよ!」

幼馴染「ハネムーンはヨーロッパに8泊10日の旅ね!」

幼馴染「結婚となるとふたりですむ新居もほしいなぁ」

幼馴染「年収いまいくらもらってるの!? ローン組んじゃう!?!?」



END





幼馴染♀(27)「へーまだ独身なんだぁw 奇遇だね! 私も私もっ!」
元スレ

テーマ : 二次創作
ジャンル : サブカル

男「委員長、またウロコ落としてましたよ?」【人外ss】

1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:17:10.63 ID:gAva7l+u0

男「委員長、また鱗落としてましたよ?」

委「ん? そうか、すまないな。拾っておいてくれたか?」

男「はい。でも、最近多くないですか?」

委「気をつけてはいるんだが、生憎と私は完全無欠ではないからな。」

男「委員長が落とすところを見られたわけでもないから、大丈夫だろうけど。」

委「理解者が傍に居るというのは心強いものだな。」

男「理解者ですかー……」

委「不服か?」

男「まあ、今は理解者でいいかな。」


eval.gifツンな風紀委員長がデレるエロ指導! (二次元ドリーム文庫)




2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:18:11.88 ID:gAva7l+u0

委「皆に知れ渡ってしまうと居づらくなる。私はまだここに居たいからな。」

男「ばれたら身を隠すってことですか?」

委「許されるならこのまま暮らしていきたい。だが、君のような者はそうそういないだろう?」

男「それ、僕が変人ってことです?」

委「悪く言えばそういう事になる。しかし、悪く思ってなどいないよ。」

男「それは光栄ですね。」

委「最初に気付いたのが君で良かったとさえ思っているさ。」

男「あの時の委員長、うろたえてて可愛かったですね。」

委「それを言うな。」



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:18:52.63 ID:gAva7l+u0

男「最初は小道具にまでこだわった遅咲きの厨二病かと思いました。」

委「厨二病? 何の病気だそれは。」

男「思春期特有のはしかのようなものです。主な症状は過剰なまでの個性の強調?」

委「よくわからないな。今度調べておこう。」

男「言っておきますが、辞書には載ってないですよ。調べるならはしかの方で。」

委「心得た。」

男「それにしても、委員長って、ほんとに委員長って感じですよね。」

委「同じものを比較しているようにしか聞こえないが?」

男「委員長はいーんちょで、委員長は役職です。さらに言えば眼鏡でもあります。」

委「いーんちょ?」



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:21:39.08 ID:gAva7l+u0

男「いーんちょっていうのは委員長のことですよ。今決めました。」

委「キミは私を混乱させたいのか? それとも馬鹿にしているのか?」

男「その反応とか、すごく委員長っぽいです。」

委「真面目に聞かなくていい部類の話か?」

男「んー……先生はせんせーだけど、せんせーの役職は先生ですよね?」

委「あだ名の類か? ふむ、人間っぽいな。」

男「いーんちょは人間っぽいのが嬉しいんですか?」

委「よくわからないが、悪い気はしない。模倣することは人間を知る近道だと思うからな。」

男「今でも十分に人間を演じられてはいると思いますけど。」

委「しかし、今まではあだ名など無かった。より人間に近づくことができたわけだ。」



9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:24:06.39 ID:gAva7l+u0

男「人間になりたいんですか?」

委「なれないよ。溶け込んで生きて行くために情報を集めているだけだ。」

男「じゃあ、人間みたいになりたいんですか?」

委「それはわからない。正確には、まだ結論が出ていないと言うべきか。」

男「人間に溶け込んで生きるのは何故なんでしょう?」

委「それは簡単だ。そうしないと生き辛いからだ。」

男「いーんちょもいろいろと大変なんですね。」

委「実感も湧いてないのに同情されるのは気分のいいものではないな。」

男「あ、ごめんなさい。ちょっと軽率でしたね。」

委「いや、人間だったらやりそうな反応を実践してみただけだ。本心じゃない。」



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:26:47.78 ID:gAva7l+u0

男「ところで、この鱗ってどこから落ちてくるんですか?」

委「衣服に付着していたものが落ちているだけだ。今は鱗は生えていない。」

男「今は?」

委「この姿は擬態だからな。自宅では本性で過ごすのだが、そのとき服に着くのだろう。」

男「仮の姿ってことですか。じゃあ、本当は全然違う見た目なんですか?」

委「上半身は人間と同じだよ。だから偽る必要はないし、偽ってもいない。」

男「じゃあ、顔とか胸は天然ものなんですね。」

委「それは重要なことなのか?」

男「少なくとも僕にとっては。」

委「キミにとっては?」

男「全身が鱗で覆われてるタイプは嫌です。」



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:30:08.25 ID:gAva7l+u0

男「本当の姿を見せてもらう事ってできます?」

委「可能か不可能かで言えば可能だが、後悔しないか?」

男「後悔するような要素があるんですか?」

委「本性を見たら、私のことを嫌わないか?」

男「見てからでないとなんとも……ザイダベックくらいビフォーアフターが違うんですか?」

委「たとえの基準にわかりづらい物を用いるべきではないな。」

男「ですね。」

委「やめておこう。本性を見られたら相手を殺すか、愛さなければならないからな。」

男「どこの女性聖闘士ですか。」

委「まあ、それは冗談としても、今はリスクを冒したくない。」

男「いーんちょも冗談言うんですね。」

委「覚えたことは実践していかないとね。」



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:31:29.10 ID:/ZETJWeeO

魚類か 爬虫類か



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:32:53.60 ID:gAva7l+u0

男「どんな感じなのか、聞くだけならいいですか?」

委「そうだな、今は足を生やしているが、本来の私には足が無い。」

男「じゃあ、何が生えてるんですか?」

委「何も生えてはいない。そのまま胴が続いていて尾が付いている。」

男「うーん……ちょっと想像できないな。」

委「だいたいこのあたりから鱗に覆われているぞ。」

男「スカートをたくし上げないでください。」

委「おっと、見苦しいものを見せたな。すまない。」

男「見苦しいとか、むしろ眼福ですが。恥じらいを持つべきかと。」

委「とは言っても所詮擬態だからな。恥ずかしくもない。好きなだけ見るがいい。」



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:35:33.80 ID:gAva7l+u0

男「とりあえず、スカートを戻し……なんで付いてるんですか?」

委「付いてる?」

男「パンツが不自然に盛り上がってますよね? いーんちょの性別は?」

委「メ…いや、女性だな。」

男「ですよね。」

委「私の擬態は間違っているのか?」

男「女性には付いてちゃいけないものが付いてます。」

委「いけない?」

男「いけなくはないか……愛好者もいるし。」

委「間違っているのだな?」



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:37:59.25 ID:gAva7l+u0

委「参考のためにいろいろな画像を見たが、細部は見れぬよう加工してあってな。」

男「塗りつぶしてあったり、画素が極端に荒かったりですか?」

委「うむ。だから彫刻を参考にしたのだが、女性をモチーフにしたものはココが省略されている。」

男「だから男性の彫刻を参考にしたというわけですね。」

委「その通りだ。」

男「省略してあるんじゃなくて何もついてないことを忠実に再現してるだけですよ。」

委「では詳しく教えてくれないか。擬態を完全なものにするために細部が知りたい。」

男「僕も実物は見たことが無いので、教えてあげることはできませんね。」

委「そうか、それは残念だ。」



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:42:42.93 ID:gAva7l+u0

男「擬態ってどうやってるんですか?」

委「?」

男「声が出なくなる代わりに足ができる薬を飲んだり?」

委「今、君と会話をしているのは?」

男「いーんちょですね。」

委「私は今、筆談をしているか?」

男「いえ、喋ってますよね。」

委「そんなおとぎ話と一緒にされても困る。」

男「じゃあ、泡になって消えちゃったりはしないんですね。」

委「少なくとも私は、な。」



24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:48:42.73 ID:gAva7l+u0

委「体組織を丸ごと組み換えたり、作り変えているだけだ。」

男「なんか夢のない話ですね。」

委「ファンタジックである必要はない。」

男「それはそうですが、ちょっと残念です。」

委「何が残念なものか。今でこそこうしているが、最初は大変だったのだぞ。」

男「今も局所的には大変なことになってますが。」

委「これはその……次から改善する。」

男「是非、そうしてください。」



25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:52:26.40 ID:gAva7l+u0

委「二足歩行に慣れない頃はよく転んだものだ。」

男「バランスの取り方が難しいとかですね。」

委「それもあるが、足首にも関節があることを知らなかったりしてな。」

男「姿形だけ真似たら大失敗……と。」

委「力の配分なども習得するまでには時間を要した。」

男「歩く・走る・跳ぶ、全部涙ぐましい努力の賜物なんですね。」

委「あとは排泄もだな。」

男「そんな事まで特訓が必要だったんですか?」

委「我慢する時どこに力を込めるのかが分らなくてな。よく下着を汚……」

男「やめて! そんないーんちょ想像したくない。」



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 20:56:24.33 ID:gAva7l+u0

委「そういえばこの眼鏡も、本当は必要ないものだ。」

男「伊達眼鏡なんですか。なら、どうして眼鏡をかけるんですか?」

委「理由は二つあるが、教えられるのは片方だけだ。聞きたいか?」

男「はい。」

委「眼鏡をかけると印象が地味になると聞いた。そして、私はあまり目立ちたくない。」

男「地味な人を演じるための変装アイテムってことですか。」

委「そういうことだな。」

男「まあ、特殊な嗜好の人もいるんですけどね。」



27: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2012/04/07(土) 21:00:19.72 ID:gAva7l+u0

男「目立ちたくないのに毎回委員長に立候補してるのは何故でしょう?」

委「役職を盾にいろいろな事に介入できるだろう? 調査がはかどると考えてな。」

男「熱心ですね。」

委「だが、私はそんなに目立っているか?」

男「人目を引くという意味では目立ってません。」

委「では、どういう意味では目立っているのかな?」

男「ステレオタイプすぎるところですね。」

委「先入観との差異が無いということか、それなら好都合じゃないか。」

男「イメージ通りなら、あれこれ詮索する必要が無いですもんね。」



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:03:34.77 ID:gAva7l+u0

委「そろそろ下校時刻だ。また明日の放課後だな。」

男「楽しい時間はあっという間ですね。」

委「君はこれが楽しいのか?」

男「このために学校に通ってるようなものですね。」

委「それは良くないな。」

男「ドライな反応ですね。」

委「両親に学費の負担を強いているなら、まずはそれに応えるべきだ。」

男「僕、奨学生なんです。学費を負担するのは未来の僕ですよ。」

委「そうか……だが、本分は勉強であることに変わりはない。」

男「もちろん勉強もないがしろにはしてませんよ。」

委「……であればこそ、私も心置きなく君とのやりとりを楽しめるというものだ。」

男「やっぱり、いーんちょはカッコいいです。」



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:07:23.41 ID:gAva7l+u0

――――――――――

男「おはようございます。」

委「おはよう。」

男「……ん? 僕の顔、何かついてますか?」

委「何も。ただ、私が挨拶を返すのは君だけだと思ってな。」

男「いーんちょは僕以外には挨拶を返さないんですか?」

委「いや、返せないという方が正しいのだが。」

男「クラスメイトは怖くないですよ?」

委「わかっているくせにそういう事を言う。やはり、君は面白いな。」

男「エー? ナンノコトデスカ?」

委「そこまでとぼける事はないだろう? そういうところは少し腹立たしい。」

男「照れ隠しというやつですよ。」



31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:13:39.94 ID:gAva7l+u0

委「なぜ照れる?」

男「褒められ慣れてないもので。」

委「私としては、君以外にも挨拶を返してみたいのだがな。」

男「返される方ですもんね。」

委「まあ、私の方がもっと歩み寄らなければ無理なのだろう。」

男「その辺のバランス感覚は難しいですね。ヤマアラシのジレンマ?」

委「慣用句か? 放課後までにそれも調べてみよう。」

男「放課後が待ち遠しいですね。」

委「それまでの授業をおろそかにして欲しくはないのだが。」

男「わかってますよ。」



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:19:27.92 ID:gAva7l+u0

委「私なりに調べてみたのだが、どうも解釈が複数あるようだな。」

男「ハリネズミのジレンマ?」

委「ヤマアラシだよ。」

男「ああ、そうでした。」

委「それに慣用句ではなく、哲学や心理学の類の用語のようだ。」

男「そうなんですか。」

委「君はどういう解釈に基づいてこの言葉を使ったんだい?」

男「解釈も何も、それっぽい言葉を挙げただけで真意なんかないですよ。」

委「いろいろと台無しだな。」

男「肩肘張って問答するのは苦手です。」



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:25:31.59 ID:gAva7l+u0

男「いーんちょは苦手なものとかってあります?」

委「色々とあるな。」

男「たとえば?」

委「火とかな。熱いのは嫌だろう?」

男「丸焼き的な意味で?」

委「丸ごとでなくとも身を焼かれるのが得意な者がいるか?」

男「いませんね。」

委「おそらくだが、君が期待している返答は、人間と異なる苦手要素だな?」

男「最初からそう訊ねればよかったですね。」



35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:30:23.73 ID:gAva7l+u0

委「哺乳類だ。」

男「イルカとか、シャチとか、クジラですか?」

委「いや、確かにそれらも哺乳類だが、違う。人の世に混じって暮らす犬や猫のことだ。」

男「ケモノが嫌い?」

委「彼らは人間と違って擬態が通じない。見破られてしまう。」

男「可愛がろうとしても逃げられちゃう?」

委「苦手なものの話しだろう? 逆だ、盛大に威嚇される。」

男「意外ですね。犬や猫が怖いなんて。」

委「怖くなどないぞ。」

男「あれ?」

委「だが、行く先々で威嚇されてみろ。存在否定されてるようでこたえるぞ。」



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:36:10.96 ID:gAva7l+u0

男「とりあえずですね、僕と友達になりませんか?」

委「うむ、申し出は嬉しいのだが、私自身が友達と言うものが良くわからない。」

男「友達は友達ですよ。きっと人間らしさに磨きがかかりますよ。」

委「概念はわかっているつもりだ。しかし、自分に当て嵌めて実践する自信は無い。」

男「難しく考え過ぎです。のび太とジャイアンだって、広義の解釈では友達なんだから。」

委「では、差し当たって私は何をすればいい?」

男「僕のことを友達だと認めてください。定義に関しては納得しなくてもいいですから。」

委「とりあえず、理解者と呼ぶべき時は友達と置き換えて呼んでみようか。」

男「その返事、いーんちょらしくてカッコいいですね。」



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:40:18.75 ID:gAva7l+u0

男「いーんちょ、いつもお昼はどうしてるんですか?」

委「昼休みという意味なら読書だ。昼食という意味なら食べていない。」

男「午後の授業、お腹すきません?」

委「食生活が違うからな。その心配はない。」

男「お昼は食べちゃダメなんですか?」

委「そんなことは無い。用意する手間や、購買部で使う金を惜しんでいるだけだ。」

男「じゃあ、今度からはお昼一緒に食べませんか?」

委「友達らしく、ということかな?」

男「そうですそうです。食べながらの会話で友情パワー炸裂です。」

委「考えておこう。」



39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:45:27.96 ID:gAva7l+u0

――――――――――

男「♪~……♪~♪~……」

委「…………」

男「♪・♪・♪~……♪~」

委「…………」

男「♪~…おわ!?」

委「む? どうした、やめてしまうのか?」

男「いーんちょ、帰り道はこっちじゃないはずでしょう?」

委「確かに逆方向だな。」

男「何でいるんですか?」

委「君の口笛が聞こえたからな。聴き入っていた。」



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:53:47.44 ID:gAva7l+u0

男「そのためにわざわざ引き返して付いてきたんですか?」

委「そういうことになるな。」

男「いつからいたんですか?」

委「前の曲が終わったあたりからかな。」

男「恥ずかしくて死にそうです。」

委「恥じる事などない。私はもっと聴きたいと思っている。」

男「聴かれるのが恥ずかしいんですよ。」

委「そうなのか。」



42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 21:57:06.49 ID:gAva7l+u0

委「曲名はあるのかい?」

男「Pollyanna……」

委「ポリアンナ?」

男「なんか、女性名ですけど、楽天家みたいな意味もあるみたいです。」

委「楽天家なのか? 少し物悲しいメロディに感じたが。」

男「一人っきりのときに流れる曲ですからね。」

委「それはともかく、続きを聴かせて欲しいのだが。」

男「この曲は二人になると流れなくなるんですよ。」



43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:01:12.32 ID:gAva7l+u0

委「では他の曲を奏でてくれ。」

男「曲を変えても恥ずかしいわけで、そういう問題じゃないんです。」

委「曲じゃなくても構わないのだが。」

男「いーんちょって変わってますよね。」

委「しょうが無いさ。人間ではないのだから。」

男「そういうところは是正していきましょう。」

委「君が言うのなら、そうした方がいいんだろうね。でも、なぜだい?」

男「郷に入りては郷に従えです。」

委「帰ったら辞書を引いてみるよ。」



44:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:08:33.68 ID:gAva7l+u0

――――――――――

男「今日は休憩時間中、ずっと何か書き留めてましたね。」

委「君はそれをずっと見ていたというわけか。」

男「ずっとじゃないですよ。ストーカーみたいに言わないでください。」

委「ではどうして私がずっと書き留めていたと言い切れる?」

男「見かける度に同じ姿勢で筆を遊(すさ)ばせていれば印象にも残るってものでしょう?」

委「そうか……奇怪に映ってはいなかっただろうか?」

男「それは無いと思いますけどね。」



46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:13:42.64 ID:gAva7l+u0

委「人間がその他の動物と決定的に違うところはなんだと思う?」

男「言葉を喋ることですかね?」

委「会話ならイルカ同士もしているらしいぞ?」

男「じゃあ、料理でしょうか? 調理して食べる動物っています?」

委「私が望む答えはもっと壮大なものだな。それには料理も含まれる。」

男「当たる気がしないですね。」

委「単純だぞ。文化だ。」



47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:17:22.87 ID:gAva7l+u0

男「言われてみればそうですかね、今の暮らしは文化が積み重なったもの。」

委「時の流れとともに変化し、人間の営みもそれに伴ってうつりかわる。」

男「で、なぜ今そんな話をしだすんですか?」

委「人間を理解するにあたって、重要なものの存在に気が付いた。」

男「それが文化だと?」

委「いや、文化はずっと学び続けているよ。今だってそうさ。もっと狭い話なんだ。」

男「要領を得ませんね。」

委「芸術だよ。」



48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:23:41.57 ID:gAva7l+u0

男「いろいろと飛躍してませんか?」

委「生き物というのは基本的に、食べる・寝るを繰り返している。」

男「それだけじゃ、増えずに絶滅してしまいますね。」

委「だが、人間はそれ以外にも力を注ぐものがある。それが芸術だ。」

男「つまり、理解を深めるために芸術にも食指を伸ばそうと?」

委「その通りだ。」

男「じゃあ、今日はずっと芸術に没頭してたんですか。」

委「現段階で私にできそうな創作活動を考えてみたのだよ。」

男「あんまりいい予感はしないですね。」



49:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:29:47.23 ID:gAva7l+u0

男「絵でも描いてたんですか?」

委「私に絵心など理解できないよ。ただの模写にしかならない。」

男「作曲とか?」

委「私は楽譜を読むことができない。読めないものが書けるはずもないだろう?」

男「いーんちょ、この流れはよくないです。非常によろしくない。」

委「私はね、君の意見は、いつだって真摯に受け止めてきたつもりだ。」

男「そうだったんですか。」

委「君は無知な私に対して、その理由までもわかり易く教えてくれたからな。」

男「そんな高尚なものでもないかと。」

委「だからこそ、聞く前から否定する今の君に失望している。」



51:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:36:18.49 ID:gAva7l+u0

男「ごめんなさい。ちょっと無神経でしたね。」

委「でも、今から君は挽回してくれるんだろう?」

男「なんですかその無茶振り。」

委「話が逸れたな。私が今日試みたのは……」

男「ポエムですよね?」

委「見抜かれていたか。」

男「ある意味、登竜門ですからね。」

委「君はそれをよくないと断じたが、その意図を聞かせてくれ。」



54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:41:55.89 ID:gAva7l+u0

男「それは遅効性の猛毒のようなものです。」

委「なんというか、とても抽象的だな。」

男「それは時に時限爆弾になり、時に古傷に姿を変えて、いーんちょを襲います。」

委「にわかには信じ難いな。」

男「僕は、自ら綴った詩によって、身を滅ぼしかけた執事の話を知っています。」

委「私はそれほどの劇物を作り出してしまったと言うのか?」

男「いーんちょはまだ間に合います。早急に処分しましょう。」

委「そうか、遅効性だから早めに対処することで中和できるのだな?」

男「その通りです。」



56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:46:35.53 ID:gAva7l+u0

委「危ないところだった。」

男「まあ、サマーの詩のような特異点もありますが。」

委「芸術というのは恐ろしいものなのだな。」

男「爆発しますからね。」

委「そして、私はふりだしに戻ってしまった。」

男「なんで急に芸術に興味を持ったんです?」

委「君がいると人間の調査が捗るからな。裾野を広げる余裕ができた。」

男「つまり僕のせいなんですか。」

委「君のせいじゃない。君のおかげだ。」



58:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:53:13.62 ID:gAva7l+u0

男「まずは娯楽からアプローチしたらどうですか?」

委「芸術は娯楽の一種なのでは?」

男「そういう堅いものじゃなくて、漫画とかゲームとか小説とかです。」

委「身の丈に合ったものから始めろと言うのだな?」

男「いえ、そういった方面なら僕も協力しやすいってことです。」

委「君が協力してくれるなら願ってもない事だ。」

男「学校には持ち込めませんけどね。」



59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 22:59:56.25 ID:gAva7l+u0

委「丁度良かった、ちょっと教えてほしいのだが、いいかい?」

男「学校に漫画持って来ちゃダメじゃないですか。」

委「授業中に読んだわけじゃない。それに、これは必要なことなんだ。」

男「いーんちょはそういうのを注意する立場だと思うんですけどね。」

委「では、君の家に行こう。校外なら問題ないだろう?」

男「それは……無理ですね。ちょっと散らかってますし。」

委「私はそんな事は気にしないぞ。」

男「僕が気にするんです。」

委「むう……困ったな。」



60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:02:51.51 ID:gAva7l+u0

男「からかっただけです。僕も持ってくることありますし。」

委「ならば、今度から厳重注意だな。」

男「まあまあ、教えますから見逃してください。」

委「では早速だが、ここの最後のいちじくの葉という言いまわしを説明してくれないか。」

男「いちじくの葉はですね、絵画なんかで陰部を隠すのに使われるものでして……」

委「ふむ。」

男「障害物が取り払われて丸見えになり、悶々とした気分が晴れて満足という事じゃないでしょうか。」

委「なるほど。よくわかった。」

男「しかし、ハイレベルなものを読んでますね。」



61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:08:27.00 ID:gAva7l+u0

委「次はこれなんだが、ここのケツの穴にツララを突っ込まれた気分と言うのは?」

男「…………」

委「君にもわからない揶揄なのか。」

男「えと、台詞の勢いを感じられれば、それでいいんじゃないですかね?」

委「試してみればわかるだろうか?」

男「試さないでくださいよ。」

委「私は試さないよ。擬態で試しても正しい感覚が得られるとは思えない。」

男「次にお前は、君に試してみて欲しいのだ。と言う。」

委「君に試してみて欲しいのだ……ハッ!」

男「パーフェクトです、いーんちょ。」



63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:14:44.27 ID:gAva7l+u0

――――――――――

委「今日は私も昼食を持参した。」

男「お、いいですねー。じゃあ、一緒に食べましょうか。」

委「それは構わないのだが、人目はなるべく避けたい。」

男「僕なんかと噂になるのは嫌ですか。」

委「なるほど、そういう見識もあるのか。」

男「納得しないでくださいよ。」

委「実を言うと、弁当と呼べる代物ではないのでな。人に見られたくない。」

男「失敗作が恥ずかしいんですか? なんとなく、らしくない感じですね。」

委「なるほど、そういう見識もあるのか。」

男「その一言で、サプライズの予感MAXですね。」



65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:21:50.93 ID:gAva7l+u0

委「保健室か……薬品の匂いを嗅ぎながら食べるのか?」

男「屋上はなぜか白い煙が立ち込めてますし、中庭は人目がありますからね。」

委「まあ、タバコの匂いよりは我慢できる。さっさと食べて退室しよう。」

男「弁当箱の中、全部卵なんですね……」

委「君たちと同じものが食べられないわけではないが、消化にコツがいるからな。」

男「そういえば食生活が違うって言ってましたっけ。」

委「それに、君たちが食べるものは私にとって味が濃すぎる。」

男「だから茹で卵なんですか。」

委「いや、これは茹でてないぞ。」

男「生卵!?」



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:26:06.93 ID:gAva7l+u0

委「火を使う事に慣れていないのでな。現状ではこれが最適解だ。」

男「ワイルドというかダイナミックというか……」

委「私ばかり見ていないで君も箸を進めるべきだ。」

男「そうですね。なにか欲しいものがあれば、分けましょうか?」

委「いや、気を使わないでくれ。私はこれで十分だ。」

男「…………」

委「……どうした?」

男「あー……はいはい、どうぞ。カマボコが気になったんですね。」

委「なっ? むぅ……そこまで言うなら、いただくとしよう。」



67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:31:09.67 ID:gAva7l+u0

男「お茶飲みます?」

委「今度こそ遠慮しておくよ。水の方が好きなんだ。」

男「ふいー……和やかな気持ちになりますね。」

委「で? これから何が始まるのかな?」

男「もう終わりましたけど?」

委「……え?」

男「え?」

委「では、何のために一緒に昼食を?」

男「食事こそが目的であって、手段じゃないですよ?」

委「なるほど、わからん。」



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:39:22.50 ID:gAva7l+u0

――――――――――

男「いーんちょ、また鱗落としてましたよ。」

委「ん、またか……」

男「気をつけてくださいね。」

委「言われるまでもないのだが、落ちていると目立つものか?」

男「どうでしょう? 僕が意識し過ぎなのかもしれないですね。」

委「見つけて拾ってくれるのはありがたく思っているぞ。」

男「ちょっとした対策を思い付いたんで、これ持って帰ってもいいですかね?」

委「正直なところ、あんまり気分のいい事ではないな。」

男「そうなんですか?」

委「たとえば、君の抜け毛を誰かが拾い集めて持って帰る。そう考えたら?」

男「相手によりますが、興奮を抑えきれませんね。」

委「……じゃあ、好きにするといいさ。」



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:40:45.48 ID:gAva7l+u0

男「あ……いーんちょ、引いてます?」

委「若干な……しかし、君の言う対策のほうに興味がある。」

男「悪用はしないんで、安心して預けてください。」

委「心配してはいないが、悪用というのがどういう用途を指すのかにも興味が湧いた。」

男「あー……それはですね……」

委「どんな用途であれ、悪用される可能性があるなら私にも責任が生じると思う。」

男「えと、たとえば……味噌汁に入れてダシを取ったりとか?」

委「勘違いをしているようだから、一つ忠告しておこう。」

男「は、はい。」

委「それは君が考えているほど悪い事ではない。それに、いいダシが出るとも思えない。」

男「やっぱり、いーんちょはサイコーです。」



72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:47:40.58 ID:gAva7l+u0

委「ところで対策というのは教えてはくれないのか?」

男「それは明日のお楽しみです。」

委「明日? 一朝一夕でなんとかなるものなのか?」

男「あー……あんまり期待されても困るんですけどね。」

委「期待をしてはいけないが、安心して任せろ……か?」

男「じゃあ、不安に押しつぶされそうになりながら明日まで待ちますか?」

委「どのみち今すぐは教えてはくれないようだな。」

男「そうです。」

委「わかった、今日のところは悪用の件ともども誤魔化されておこう。」

男「わーい、バレてた。」



73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:51:45.35 ID:gAva7l+u0

――――――――――

男「いーんちょ、いま時間大丈夫ですか?」

委「昨日言っていた対策のことかな?」

男「そうです。」

委「大丈夫だと言いたいところだが、目安箱の集計がまだ終わらなくてね。」

男「それって真面目に投函してる生徒いるんですか?」

委「ほとんどはいたずら書きか、ゴミが投函されているが、真っ当なものもあるよ。」

男「手伝いましょうか?」

委「それは駄目だ。この作業は守秘義務を尊重しなければいけないからね。」

男「じゃあ待ってます。見とれててもかまいませんか?」

委「なるべく早く終わらせるとしよう。」



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:54:26.01 ID:gAva7l+u0

男「終わりました?」

委「とりあえずはね。これ以上のことは次回の委員会で議論すべきだろうし。」

男「じゃ、さっそくこのイヤリングを見てください。」

委「君が加工したのか? 器用なものだな。」

男「いえ、百均で買ったやつに瞬着で貼り付けただけですよ。」

委「で、これがどう対策になるというのかな?」

男「いーんちょがコレを付けていれば、落ちてる鱗はコレの部品だと思い込むんじゃないでしょうか。」

委「ふむ。隠すのではなく、わかりやすい答えを晒しておくわけか。」

男「そしたら、拾って届けてくれる人も出てくるんじゃないかと。」



76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/07(土) 23:59:37.02 ID:gAva7l+u0

委「発想は悪くないが、これを使うことはできないな。」

男「ちょっとダサすぎましたか?」

委「いや、悪くはないと思う。私の美的感覚はアテにはならないだろうが……」

男「お洒落をして目立つのを避けたい?」

委「それ以前の問題だよ。」

男「?」

委「ピアスやイヤリングは校則違反だ。」

男「あー……」

委「ヘアピンやカチューシャも華美な装飾が施されたものは禁ず、とある。」

男「八方塞がりですね。」



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:01:09.67 ID:YOt0mr2K0

委「どこも塞がってはいないぞ。キーホルダーやストラップならお目こぼしがある。」

男「そっか、身につけるものに拘りすぎてましたね。」

委「君のセンスに任せるから、作ってみてはもらえないか?」

男「それは構いませんが、もう鱗ないですよ。」

委「じゃあこれを使うといい。目安箱に入れてあった。」

男「僕以外にも拾ってる人がいたのか……」



78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:08:09.22 ID:YOt0mr2K0

委「まあ、ゴミとみなして捨てたというところかな。」

男「それを捨てるなんてとんでもない!」

委「いやいや、私もゴミ同然だと思うのだが……」

男「でも、ちょっと少ないですね。」

委「必要なら言ってくれ、明日むしって持ってくる。」

男「痛くないんですか?」

委「ニキビを潰す程度のものだよ。」



79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:15:14.55 ID:YOt0mr2K0

――――――――――

男「いーんちょ、最近調子悪いんですか?」

委「そう見えるかい?」

男「お肌カサカサだし、机の周りも抜け毛すごいじゃないですか。」

委「よく見ているな。」

男「そこは僕の個人的な視点が大きいです。でも、誰が見ても心配すると思いますよ。」

委「しかし、言ってきたのは君だけだぞ?」

男「ほら、いーんちょ近寄りがたいオーラ出てますから。」

委「それは仕方がない。交友を深めていけばボロを出さないとも限らない。」

男「でも、みんな心の中では気にかけてると思います。」



81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:20:49.30 ID:YOt0mr2K0

委「私がどうなろうと気にする必要はないんだがな。」

男「冷たいこと言いますね。」

委「そうか?」

男「友達を気遣うのは当たり前のことですよ。」

委「そうか、友達か……」

男「いきなり居なくなったりしないですよね?」

委「居なくなるとは?」

男「遠くへ行っちゃったり、入院したり、あと……」

委「あと?」

男「死んじゃったり。」



82:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:25:06.51 ID:YOt0mr2K0

委「なんだ、そんな事を心配していたのか。」

男「そんな事って言い切れる事態かどうかもわからないから不安なんじゃないですか。」

委「じゃあ、安心してくれてかまわないぞ。そんな事と言い切れる程度の事態だ。」

男「ならいいんですけど……正直、見るに耐えないというか……」

委「体調の管理は万全だ。」

男「そうは見えないから、心配してるんですけどね。」

委「もう一度言う、安心してくれ。それとも、私は信用できないか?」

男「わかりました。ひとまず安心しときますね。」

委「よろしい。」

男「でも、何かあったら言ってくださいね。力になれるとは思えませんが。」



83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:28:56.44 ID:YOt0mr2K0

委「ところで君は今週末、何か予定があるかい?」

男「特に何もないです。」

委「では、ちょっと私に付き合ってはくれないか。」

男「お? それはデートのお誘いですか?」

委「そう思うのか?」

男「少しくらいは期待したっていいじゃないですか。」

委「私が人間なら、そういう反応を喜ぶべきなのだろうな。」

男「その発言で僕の期待は粉々に打ち砕かれてしまったわけですが。」

委「で? 時間は割いてもらえるのかな?」

男「いいですよ。ご一緒します。」



84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:34:48.92 ID:YOt0mr2K0

――――――――――

委「やあ、待たせたかい?」

男「いえ、僕もさっき来たところです。ほんの2時間ほど前にね。」

委「おかしいな、1時間ほど前に私が来たときは見かけなかったが。」

男「すいません嘘です。というか、一回来て帰ったんですか?」

委「いや、私のも嘘だ。人間らしいやり取りだろう?」

男「そうですね。花マルを差し上げますよ。」



85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:40:00.81 ID:YOt0mr2K0

委「では行こうか。」

男「あ、そういえば聞いてなかったんですけど何をするんですか?」

委「大人の階段を上る手伝いを頼むよ。」

男「えーと……目的地としては何処へ行くんですか?」

委「私の家……というか、部屋だな。」

男「できれば緊張する猶予くらい与えて欲しかったですね。」



88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:47:45.89 ID:YOt0mr2K0

委「何もないところだが、上がってくれ。」

男「では、お邪魔します。」

委「どうかな? 緊張しているかい?」

男「多少は……それよりも本当に何もないことに驚いてますが。」

委「絶対に必要なもの以外は置かないことにしているからな。」

男「でっかい水槽でもあるのかと思ってました。」

委「水槽なんてそれこそ必要のないものだろう。」

男「自宅では本性で過ごすって聞いてたもので。」

委「君は勘違いをしているよ。まあ、敢えて明言を避けてきた私も悪いのだが。」

男「じゃあ、答え合わせをお願いします。」



90:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:50:35.78 ID:YOt0mr2K0

委「君は私を何だと思っていたんだい?」

男「人魚ですね。マーメイド。」

委「だろうね。」

男「違うんですよね?」

委「失望させてしまうかもしれないが、私は蛇女だ。」

男「ああ……え?」



92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:53:08.04 ID:YOt0mr2K0

委「今日はこれから本性を披露しようと思っている。」

男「いいんですか?」

委「それを見て醜いと思うかもしれないが、できればこれまで通り接してやって欲しい。」

男「わかりました。」

委「それが無理なら、嫌っても構わないが、私のことは今後も秘密にしておいて欲しいな。」

男「嫌うってことはないと思います。秘密に関しても心配無用ですよ。」

委「そう願いたいものだ。私は君を手にかけたくはない。」

男「発言には一層の気を遣うようにしますね。」



93:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:56:45.39 ID:YOt0mr2K0

委「本邦初公開……でもないか。どうかな?」

男「なんていうか……長いですね。」

委「他に何か感想はないのかな?」

男「強いて言えば、上は着てください。」

委「気持ち悪くはないのかい?」

男「落ち着いたらそんな感想も浮かぶかもしれません。とりあえず上は着てください。」

委「混乱しているから、冷静な判断は下せないということか。」

男「そうです。僕は自分で思ってたより小心者でした。それより上をですね……」

委「わかったわかった。これでいいかな?」

男「おお、新しいジャンルを垣間見た気がします。」

委「たかがシャツ一枚でか?」



97:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:01:28.10 ID:YOt0mr2K0

男「で、今日僕を招いた目的は何でしょう? このお披露目だけじゃないですよね?」

委「君は察しがいいな。さっきも言ったが、手助けを頼みたい。」

男「勢力争いに加勢しろとか、そういうのは多分無理ですけど。」

委「察しがいいと言ったのは取り消すことにしよう。」

男「今はその程度のユーモアセンスしか働かないんですよ。大人の階段でしたっけ?」

委「コホン、脱皮をする。」

男「え?」

委「脱皮の直後はひどく衰弱してしまう。その間の世話を焼いてほしいのだ。」

男「じゃあ、もうやっちゃってください。今の僕に考える時間を与えないほうがいいです。」

委「それもそうだな。」



100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:07:22.30 ID:YOt0mr2K0

――――――――――

男「いーんちょ、グロいです。あと、エロいです。」

委「別に……経過まで見る必要は……なかったのだが。」

男「この抜け殻はどうするんですか? 燃えるゴミの日?」

委「すまない……軽口につき合う余力も……ない。」

男「何からすればいいですか?」

委「ベッドまで……たのむ……尾は引きずってもいい。」

男「身体ヌルヌルですけど拭いたほうがよくないですか?」

委「表皮が定着するまでは駄目だ……今はすごく刺激に弱い……」

男「となると僕が素手で触れるのも激痛なのでは?」

委「抜け殻の内側から……残っている粘液をすくって、手に塗れば……な?」

男「カンベンしてください。」

委「贅沢を言える立場じゃないな、私が耐えよう。」

男「あーもー! わかりました! やりますよ!」



101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:08:32.37 ID:WlCuwABQ0

痛みじゃなくて快感なんだろ?



102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:10:40.38 ID:FAO4uQ860

何かに目覚められた気がする
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B005CMIBQQ/



103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:11:10.19 ID:YOt0mr2K0

委「ありがとう。重くはなかったかな?」

男「思ったよりは重かったですね。」

委「君は正直だな。」

男「それより、なんかすいませんでした。」

委「どうして謝るんだい?」

男「いや、抱きしめるような感じになっちゃってたので。」

委「気にしているのかい?」

男「あれは、不可抗力というか、ヌルヌルで上手く支えられなかったからで……」

委「私を床に放り出さなかった事に感謝したいくらいなのだが。」



105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:13:57.68 ID:YOt0mr2K0

委「ふむ、だいぶ楽になって来たな。」

男「もう大丈夫なんですか?」

委「本調子には程遠いが、あと小一時間もすれば起きられそうだ。」

男「じゃあ、僕はそろそろ……」

委「帰ると言うのかな?」

男「いけませんか?」

委「引きとめたら居てくれるのかい?」

男「悩むと思います。」

委「とりあえず、服を洗濯した方がいいと思うよ。」

男「あー……確かに。」



106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:17:18.69 ID:YOt0mr2K0

委「君たちは裸を見られるのは嫌だろう? だったら、今のうちに洗ってしまうといい。」

男「脱ぐとしても上だけですが、ちょっと言ってることがわからないですね。」

委「私はまだ目を開けることができないからね。」

男「じゃ、洗ってしまいます。」

委「その後で構わないから、私の眼鏡を持ってきてくれないか。」

男「あれは伊達眼鏡なんじゃないんですか?」

委「それでもあれは必要なものなのさ。」



107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:21:24.42 ID:YOt0mr2K0

――――――――――

委「遅くまですまなかったね。今日はすっかり君に甘えてしまった。」

男「僕の方こそ、頼ってもらえて少し嬉しかったですよ。」

委「今なら、正常な判断はできそうだね。」

男「何の事ですか?」

委「私のことを気持ち悪いとは思わないか?」

男「思わないです。」

委「本当に?」

男「思った方がいいんですか?」

委「そんな事はないさ。」

男「でも、とても驚きました。」



108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:25:38.42 ID:YOt0mr2K0

委「本当に助かったよ。また次も、お願いしてもいいかい?」

男「こういうのは頻繁にあるんですか?」

委「年に数回かな。」

男「今まではどうしてたんです?」

委「どうしようもないときは自分で何とかしてきた。」

男「どうにかなるときはどんなとき?」

委「今日の君のように、手伝ってくれる人がいたときだ。」

男「それはちょっとショックですね。」

委「どうしてだい?」

男「理由がわからないなら、それはきっと勉強不足だからです。」

委「説明してはくれないのかな?」

男「宿題ということにしましょう。」



110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:29:15.44 ID:YOt0mr2K0

委「そういえば、ここへ人を招いたことはあるが、無事に帰るのは君が初めてだ。」

男「他の人はどうなったんですか?」

委「それが私からの宿題というのはどうかな?」

男「そういう問題じゃないと思いますが。」

委「私は今日、君に一つだけ嘘をついている。それがヒントだ。」

男「全然ヒントになってませんよ。」

委「じゃあ、ヒントを足そう。殺したりはしていないよ。」

男「本当ですね?」

委「嘘は一つだけだよ。」



111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:34:15.39 ID:YOt0mr2K0

男「月曜日には登校できそうですか?」

委「うん、大丈夫だ。」

男「じゃあ、月曜日に答え合わせをしましょう。」

委「送ってあげられなくてすまないね。気をつけて帰ってくれ。」

男「いいんです。無理はしないでください。おやすみなさい。いーんちょ。」

委「ああ、おやすみ。」

委「…………」

委「どうしてだろうか? 不意に彼を困らせてみたくなった。」

委「……これは勉強の成果なのかな?」



113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:36:32.66 ID:YOt0mr2K0

――――――――――

男「いーんちょ、まだ体力が戻ってないんですか?」

委「そう見えるかい?」

男「見えます。」

委「難しい宿題に悩まされて、先週末は寝付けなかったんだ。」

男「奇遇ですね、実は僕も難問に頭を抱えてて寝不足なんです。」

委「だからと言って授業中の居眠りは看過できないな。」

男「寝てません。ちょっとウトウトしてただけです。」

委「じゃあ、明日からは授業に集中できるよう答え合わせをしよう。」



117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:52:43.42 ID:wpA+DKwa0

委「私のついた嘘は、まだ目を開けられないというものだ。」

男「じゃあ、見てたんですか?」

委「見てはいないさ。」

男「で、それが無事に帰れなかった人達とどう関係するんですか?」

委「私は目が合った相手に暗示を掛けることができるんだ。」

男「じゃあ、僕にも何か暗示を掛けてるんですか?」

委「心配しなくてもいいよ。この眼鏡のもう一つの理由がまさにそれだ。」

男「眼鏡越しだと暗示にかからない?」

委「ご名答。」



118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:53:47.03 ID:wpA+DKwa0

男「実践とか、お願いしてもいいですかね?」

委「君でかい?」

男「疑ってるわけじゃないですよ。一応、身を持って知っておきたいなと。」

委「じゃあ、眼鏡を外すから、私の目を見てくれないか。」

男「なんか照れますね。」

委「そんな余裕があるのかい? 君の手足は石になってしまったぞ?」

男「え? うあ……これ、マジで……」

委「それにとても喉が渇いている。そうだろう?」

男「そういえば……」

委「もう治ったけどね。」

男「あれ……ホントだ。」



121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:57:21.87 ID:wpA+DKwa0

男「何でもできちゃうんですか?」

委「あくまで暗示だから、相手の知識に寄るよ。赤ん坊には効かない。」

男「他の人達にはこれにかかったんですね。」

委「拒絶されてしまったからね。私に関する事を全て忘れて帰ってもらったんだ。」

男「僕にそうしなかったのは……」

委「君は私の姿を見ても態度を変えなかった。だから必要ないと判断したのさ。」

男「僕の場合、ある程度タネ明かしがあったからじゃないかと。」

委「しかし、蛇女とまでは知らなかった。むしろ人魚であることを期待していただろう?」

男「あんまり関係ないんじゃないですかね。」

委「期待を裏切られたとは思わなかったのかい?」

男「まあ、多少は……」



122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:59:16.74 ID:wpA+DKwa0

男「でも、裏切られたのはいーんちょじゃないですかね?」

委「どういう意味だい?」

男「あれはいーんちょにとって弱味になる部分だと思うんです。」

委「そうなるね。」

男「そこまでさらけ出して手のひらを返されるのは辛いと思います。」

委「……ん?」

男「いーんちょ?」

委「そうか、なるほど、そういうことか。」

男「もしもーし? いーんちょ?」



123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:01:23.07 ID:wpA+DKwa0

委「ああ、すまない。」

男「何か閃いたんですか?」

委「私は今までの……君以外の人とはそれほど親密になれていなかったんだろうね。」

男「んー……それに関しては僕からはなんとも。」

委「でも、親密になれなかったのは当然のことなんだ。」

男「はあ。」

委「私は君と交流を持つ前は、相手との距離に曖昧な認識しかもっていなかった。」

男「あー……それはありそうですね。」

委「そんな関係でいきなり本性を晒しても、一方的な押し付けでしかないじゃないか。」

男「お、なんかレベルアップできたっぽいですね。」

委「一皮むけたのさ。文字通りね。」



124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:03:18.56 ID:wpA+DKwa0

男「次は僕の解説になるわけですが。」

委「よろしく頼む。」

男「さっき弱味って言いましたけど、僕はそれを見る資格を持ってると思ったんです。」

委「資格というと?」

男「弱味を見せても構わない、いーんちょにとって特別な人間なんだと。」

委「その通りだな。」

男「でも、その特別は僕だけじゃなかった。」

委「結果としては、現時点では特別なのは君だけだと思うが?」

男「まあそうですね。だからこれは出題ミスです。」

委「それにショックを感じた理由がわからないのだが。」

男「出題ミスなんです。追及は無駄です。徒労です。」



125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:08:43.91 ID:wpA+DKwa0

――――――――――

男「読書の習慣が復活したんですね。」

委「でも、実用書を読むのはもうやめたんだ。」

男「何を読んでるんですか?」

委「小説だよ。」

男「僕としては漫画を読むほうが楽ですけど。」

委「本は知識を増やすために読むものだと思い込んでいた。」

男「面白いですよね。物語でも知識でも文字に違いは無いはずなのに。」

委「文字にはこんな使い方もあったんだ。漫画を読んだからそれに気づけたんだと思うよ。」

男「僕はどちらかと言うと、活字は苦手ですけどね。」



127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:13:35.36 ID:wpA+DKwa0

委「文章から得られる情報を、情景として思い浮かべる……前はできなかったことだ。」

男「そんな事は無いと思いますけど。」

委「物語をなぞる事は、私にとっては知識を得る事と等しい価値をもつものだと思う。」

男「擬似体験ってことですか?」

委「これに書かれていることを実際の体験で得ようと思うと、きっと膨大な時間が必要だろう。」

男「その機会自体が無い事だってあり得ますからね。」

委「人の感情がどう変化するのか、その参考にもなるよ。」

男「あ、それはあんまり参考にしない方がいいです。」

委「そうなのか。」



128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:17:55.34 ID:wpA+DKwa0

委「近頃は、自分の行動がどんな結果に結び付くのかを想像することもあるんだ。」

男「本の中の世界に入り込んじゃう?」

委「それとはまた別だよ。もし私が授業中や休憩中にこうしたら、他の人はこうするとか。」

男「シミュレーションですか。」

委「そうだね。」

男「逃走中の銀行強盗がこのクラスに立て籠ったら、どう対処するか。みたいな?」

委「なっ!?」

男「まあ、それは冗談としても……」

委「君は私の心が読めるのか?」

男「……いーんちょ、それはダウトです。」



129:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:22:05.52 ID:wpA+DKwa0

――――――――――

委「最近ね、人の感情というものがわかりかけてきたと思うんだ。」

男「わかった。とは、言い切らないんですね。」

委「そんなに傲慢ではないさ。推し量れるものでないことを理解しているからね。」

男「えーと、今日は何かデリケートなお話なんです?」

委「感情について考えているとね。君の事が浮かんでしまうんだ。」

男「それは僕にとって喜んでもいい事なカンジですか?」

委「期待させたのなら詫びなければいけない。むしろ失礼な事を言ってしまうかもね。」

男「ぬか喜びには慣れました。気にしないで続けてください。」

委「岡目八目という言葉を知っているだろうか?」

男「いきなり現国の話になった!?」



130:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:26:22.91 ID:wpA+DKwa0

男「関係ない人の方が、当事者よりも物事を正確に見られることですよね。」

委「君の話はまさにこれだと思うんだ。」

男「どういう事ですか?」

委「君は何事においても客観的すぎる。私にはそう感じられる。」

男「うーん……まあ、そうかもしれないですね。」

委「同年代の人と比べても、随分と達観しているしね。」

男「僕の物言いはウザいですか?」

委「そんなことじゃない。そうじゃないんだ。」



132:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:29:24.86 ID:wpA+DKwa0

委「単刀直入に聞くが、君は本当に人間なのか?」

男「また話がブッ飛びましたが……」

委「君がくれるアドバイスは、先達や先輩が体験談に基づいて下すそれに思える。」

男「そんな大層なものじゃないですって。」

委「君の感情も、どこか現場の外にいて、全体を見ながらコントロールできているような……」

男「とりあえず、僕は人間ですよ。性格については育ちの悪さによるものかと。」

委「悪いなんて思ってないぞ。」

男「じゃあ、育ちの良さによるものってことで。」

委「とにかく、人間なのは間違いないんだね。」



133:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:33:09.53 ID:wpA+DKwa0

男「僕が人間ってことについては、安心ですか? 残念ですか?」

委「どっちもある。複雑なところだな。」

男「前に僕は奨学生だって言ったの、覚えてますか?」

委「覚えている。私もそうだからな。」

男「あ、それは初耳だ。」

委「続けてくれないか。」

男「あ、はい。僕は両親に早くに死なれちゃって、親戚に預けられたり施設に入ったりしたんです。」

男「だからですね、人の顔色を窺ったり、こじれない人付き合いの方法を身につけなきゃいけなかった。」

委「それを私にも教えてくれているというわけか。」



134:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:36:09.51 ID:wpA+DKwa0

男「でも、教えてるだけであって、いーんちょにはそういう接し方はしてないつもりですよ。」

委「そうなのか。」

男「無意識にやっちゃってたことがあったとしたらノーカンでお願いします。」

委「教えてくれるのはなぜかな? 私にそう接しないのはどうしてなんだい?」

男「怒らないでくださいね?」

委「顔には出さないよう努力しよう。」

男「自分と同類だと思うようになったからです。」

委「私と君が、かい?」

男「はい。」

委「だったら怒る理由が無い。むしろ嬉しく思うよ。」



135:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:40:41.98 ID:YOt0mr2K0

――――――――――

男「♪・♪~♪・♪~……」

委「…………」

男「♪・♪~♪・♪~……」

委「口笛は恥ずかしいんじゃなかったのかい?」

男「ああ、今は別にいいんです。そういう気分なんで。」

委「それも何かの曲なのかな?」

男「これはBein'Friendsって曲ですね。」

委「じゃあ、聴き入ってもいいのかな?」

男「どーぞ……♪・♪・♪~……」



137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:44:27.76 ID:YOt0mr2K0

――――――――――

委「やはり、君に訊くのがよさそうだ。教えてくれないか?」

男「成績ならいーんちょのほうが優秀じゃないですか。」

委「授業の内容だったら、私がわからないほど難しいものを君に訊ねることは無いよ。」

男「相手が落ち込むような台詞を平然と言ってのけるッ! そこにシビれる!」

委「憧れる?」

男「そっちのお勉強も順調なようですね。」

委「そうでもないんだ。だから君に教えてもらいたいのさ。」

男「わかりました。教えましょう。」



138:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:51:56.68 ID:YOt0mr2K0

委「萌えるとは何だ?」

男「え?」

委「もちろん草木が芽吹くことではない。」

男「可愛い! の、類義語ですかね。」

委「可愛いというのは形容詞だぞ?」

男「じゃあ、可愛いく思う。と、言うべきでしょうか。」

委「どのように使い分けるんだ?」

男「決まりはないと思います。個人の裁量ですね。」



140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:56:26.13 ID:YOt0mr2K0

委「なぜそんな言葉ができたのだろうね?」

男「可愛いを口にするのは恥ずかしい、欲情すると口に出すのは後ろめたい。そんな感じでは?」

委「真意は伏せたいが、評価はしたいということかな?」

男「僕がそう思うだけであって、それが正しいとは言えないですけど。」

委「解釈が違うかもしれないのに、意思疎通に使える柔軟性を持つ言葉か……」

男「それほど真剣に考えることもないかと。」

委「じゃあ、これに関しては深く考える必要はなさそうだ。」

男「これ? それ以外にもあるってことですか?」

委「いくつかある。書き留めてきたからね。」

男「わかりました。わかる範囲でよければ教えます。」



142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:01:07.94 ID:YOt0mr2K0

委「次はやおいというものについて教えてもらいたい。」

男「ちょ! 一体どんな本からその言葉を拾ってきたんですか!?」

委「特に参考図書があるわけじゃない。単語として見掛けただけだよ。」

男「それは主に作品のジャンルを表す言葉です。山無し、意味無し、オチ無し、の頭文字です。」

委「それだけか?」

男「そういった、起承転結の無い物語を表す言葉です。」

委「そんな物語に需要があるのだろうか?」

男「ないです。だから、これも深く考えちゃダメです。」



143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:07:01.42 ID:YOt0mr2K0

――――――――――

男「おはようございます。いーんちょ。」

委「ああ、おはよう。」

男「なんとなくですけど、機嫌がよさそうですね。」

委「実はさっき、君以外のクラスメイトに挨拶を返したんだ。」

男「よかったじゃないですか。」

委「きっと、君のおかげなんだろうな。」

男「もっともっと馴染んでいけるといいですね。」

委「でも、それは難しい事だ。私には絶対に打ち明けられない事があるからね。」



144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:15:02.27 ID:YOt0mr2K0

男「そこに引け目を感じる必要はないですよ。」

委「そうなのかい?」

男「友達同士でも多少の隠し事はあるもんです。」

委「多少どころの話じゃないと思うけれどね。」

男「僕からすれば多少どころの話です。」

委「そうか。ありがとう。」

男「どういたしまして。」



147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:21:37.48 ID:YOt0mr2K0

委「今日は折り入って話があるんだ。」

男「何でも言ってください。」

委「少し自信がついたからね。自力で友達と呼べる相手を作ってみようと思ってね。」

男「それで僕に相談がしたいと?」

委「いや、相談はしない。あくまで自分ひとりで挑んでみるつもりだ。」

男「少し危なっかしい気もしますね。」

委「私もそう思う。でも、失敗から学べることもあると思う。」

男「確かに。」



148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:27:00.69 ID:YOt0mr2K0

委「だから、君との友達関係を一旦解消したい。」

男「え?」

委「こういう事は、手続き的に対応できるものじゃないことはわかっているよ。」

男「でも、相手が僕なら納得してくれるだろう。と?」

委「その通りだ。」

男「しょうがないですね……断ったら、いーんちょが困りますよね。」



150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:33:57.54 ID:YOt0mr2K0

委「人間の友達関係について、君からは色々なことを学ばせてもらった。」

男「これからは実践あるのみってことですね。」

委「それもあるが、君には今後、恋愛関係について教えてほしいんだ。」

男「え!?」

委「かか、勘違いしないでくれ! その、あくまで人間の理解を深めるためだ。」

男「……あれ?」

委「でも! 卵を産む手前くらいまでなら!」


――――――――――――――――――――おわり





男「アンタが許嫁か?」許嫁「ソレが何か?」【オリジナルss】

1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 00:49:40.93 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「アンタみたいのがねぇ…」

男「ふうん、普通にかわいいのな」

許嫁「ハァ?アンタ何当たり前なことを言ってるの?」

男「はぁ、すみませんでしたねぇ」

許嫁「まあいいわ、さっさとお父様とお母様に挨拶するわよ」スタスタ

男「…ハァ」

男父「いやぁ~まさかこんなべっぴんさんとは…」

男父「よかったな、男!」

男「まあ、そうだな」

男母「これからも末永くよろしくね」

許嫁「こちらこそ…」ペコッ

男母「あら、礼儀正しくて男にはもったいないわ」

男「失礼だな…」

男「まあ、よろしく」

許嫁「よろしく、男さん」

男「(外面は最高だな…)」




4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 00:53:57.55 ID:FhtJ9H3w0.n

男「そういえば、許嫁はどこで寝るんだ?」

男母「それがね、空き部屋が無くって…男の部屋で寝てもらうわ」

男「そうか、わかった」

男父「いいか、男…くれぐれも…」

男「父さん…」

許嫁「さ、男さん…部屋へ行きましょう」

男「ちょ…」

男部屋

許嫁「くれぐれも、襲ったりしないでね」

男「当たり前だ…」

男「(そういうのは、ちゃんと考えてるから…マジで)」



6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 00:58:42.60 ID:FhtJ9H3w0.n

男「で、何か話しでもあるのか?」

許嫁「ええ、あるわ」

男「なんだよ…」

許嫁「私たちって同じクラスじゃない」

男「ああ、そうだな…いきなりの縁談だ正直びっくりした」

許嫁「まあね…本当、最悪だわ」

男「失礼ですね…最悪って」

許嫁「だってそうでしょ?」

許嫁「私みたいな完璧な美少女があなたみたいな」

許嫁「平均的な男と結婚するんだから」

許嫁「泣きながら感謝して欲しいわ」

男「(マジで泣かしてやろうか…)」



7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:02:35.67 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「あ、そうそう同じクラスだからって話しかけたりしないでね」

男「はいはい…」

男「(別に用事が無けりゃ話しかけたりしないって)」

男「お前って傲慢な性格だな」

許嫁「大丈夫よあなたにだけだから」

男「(なんとうれしくない特別…)」

男「まあ、いい…とりあえず今日はもう寝ろ…」

許嫁「そうするわ」



8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:05:51.88 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「お休み…」

男「(当然のようにベットで寝てやがる…)」

男「布団敷くか…」

翌日

男「…朝か」

男「…ん~」

許嫁「遅いわね…」

男「うお!何で俺の布団の中に入ってるんだ…」

許嫁「悪い?」

男「いや、悪くないけど…いや、悪いな」

男「そういうのはダメだまだ早い俺達は学生だしな」

許嫁「かちかちね…」

許嫁「まあ、いいわ」

男「顔洗ってくるか…」



10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:08:24.95 ID:FhtJ9H3w0.n

登校

男「…」

許嫁「…」

男「なあ、なんで一緒に登校してるわけ?」

許嫁「ダメかしら?」

男「つか、話しかけて欲しくないんだろ?」

許嫁「そうね…」

男「だったらよ…」

許嫁「わかったわ…学校に着くまでね」

男「まあ、もうどうでもいいや」

学校



11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:12:35.35 ID:FhtJ9H3w0.n

男「おはよう」

友「おはよう、男~」

友「なあ、聞いてくれよ」

男「なんだ?」

友「実はさ、今日な…許嫁さんに話しかけたんだよ」

男「ふーん」

友「そしたらさ、許嫁さんがおはようって笑顔で返してくれたんだ!」

男「そりゃ、良かったな…」

友「ありゃ、俺に惚れてるぜ」

男「そいつは考えすぎじゃないか」

友「そうかな~」

男「ああ、考えすぎだ…」

友「許嫁さんいいよな~おしとやかで~かわいくて~もう高嶺の花ってやつだな」

男「そうですね~」

友「なんで、こういう話に乗らないのかね君…まさかホモ?」

友「すまん、男、俺はノンケだから」

男「ホモじゃねぇし、仮にホモだとしてもお前とは付き合わん」

友「ガーン」

男「そこでショックを受けるのはおかしい」



12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:16:50.32 ID:FhtJ9H3w0.n

友「さ、そろそろチャイム鳴るか~」

男「おう、席にもどれ」

友「おう!」

昼休み

男「(やっと昼休みだ…飯食うか…)」

友「男!!」

男「なんだ、貴様…」

友「飯の時間に話しかけられると若干キレるよなお前」

男「唯一の安らぎの時間だぞ」

友「そうだな~あ、許嫁さん見てみろよ」

男「また、許嫁の話か…」

友「アレ?お前呼び捨てだったけ?」

男「俺は基本的に呼び捨てだぞ?」

友「そうだっけ?」

友「まあ、いいや…ほらあの人気っぷり…やばいな」

男「ああ、ヤバイヤバイ」

男「(ん?味付け変えたか?)」



13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:21:35.75 ID:FhtJ9H3w0.n

男「(こっちの方がなんか好きだな…)」

友「ああ~俺もあっちのグループに入りたいなあ~」

男「入ってくればいいだろ」

友「でもよ~お前が一人になるのは…」

男「お前はいい奴だな…でも気にしなくてもいいぞ?」

友「本当は入る勇気がないんだよ~」

男「そうか、まあ、そんなこったろうと思ったが」

男「ごちそうさま」

友「あ、もう食ったの?」

男「ああ、お前全然食ってないな…」

友「話に夢中になりすぎたわ…」

友「それにしても…あいつちょっとベタベタしすぎじゃない?」

男「誰が?」

友「ほら、あのイケメン君さぁ~」

許嫁「へぇ~」

イケメン「なあ、今日どっかに行かない?」

友「くそ…いちゃいちゃしやがって」



15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:27:03.22 ID:FhtJ9H3w0.n

男「そうだな…付き合ってるのかな?」

友「まあ、お似合いだよな…」

男「そうだな…お似合いお似合い」

友「男?どうした?お前なんか若干機嫌が悪いように見えるけど?」

男「気のせいだろ…俺はいつも通りです」

友「そうか?」

友「あ、もしかしてお前…許嫁さんのこと…」

男「…お前は本当にそういう話が大好きだな…別にそういうのじゃない」

男「まあ、強いて言うなら女の方が俺の好みだぜ」

友「マジで?あの地味な?」

男「お前地味とか言うなよ…光る原石だろアレ絶対」

友「本当かよ~」



16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:30:44.72 ID:FhtJ9H3w0.n

男「じゃあ、ちょっと女を改造してみよう」

友「マジ?おもしろそう…俺も俺も」

男「よ、女」

女「あ、男さん…どうも」

友「あのさ、あのさ、女さんっておしゃれに気を使ってるの?」

女「いえ、そんなに…」

男「お前さ、顔は良いんだからさ、ちょっと髪型なんとかして」

男「コンタクトにしたら絶対にモテるって」

女「そんな、私は別に」

男「いやいや、女はおしゃれしてなんぼってな」

男「死んだ姉が言ってたんだ…」

女「え…えと、すみません」

友「お前、嘘吐くなよ…信じちゃったじゃん女さん」

女「え、嘘なんですか?」

男「ああ」

女「ひ、ひどいです!」

男「ごめんごめん」



17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:34:07.19 ID:FhtJ9H3w0.n

男「ま、あくまで俺のは参考程度にね…」

友「そうそう、鵜呑みにする必要はない!」

女「で、でも…ありがとうございました」

男「いえいえ」

友「お前、本当に好きなそういうの」

男「何が?」

友「ちょっかいって言うか…」

男「おもしろいじゃん」

友「まあ、それで本当に綺麗になったら俺がゲットしてやる…」

男「おう、頑張れ~」

許嫁「…」ジィー

イケメン「許嫁さん?」

許嫁「あ…どうしたの?イケメンさん…」

イケメン「いや、どうしたのかなって…」

許嫁「いえ、別にどうもしてないわ…」

イケメン「で、どうかな?今日…」

許嫁「ごめんなさい、イケメンさん誘ってもらってうれしいけど用事があるから」

イケメン「そっか…残念だな」



18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:36:26.03 ID:FhtJ9H3w0.n

放課後

男「さて、帰るか」

友「そうだな~」

許嫁「男」

男「ん?」

友「え…許嫁さん!?」

許嫁「ちょっと来て…」グイッ

男「え、ちょっと?」

友「なんだ~あれ…羨ましいな…」

イケメン「…」

男「なんだよ?」

許嫁「あれはどういうつもり?」

男「あれ?」

許嫁「女さんにベタベタしてたじゃない…」

男「ベタベタってただ話してただけだろ」



20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:40:04.32 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「私より女さんの方がいいわけ?」

男「いいってなんだよ?」

許嫁「私より女さんと結婚したいの?付き合いたいの?」

男「別にそんなことはないって、ただあそこでお前の話題を出したら」

男「迷惑になると思ったから、あんな風に言っただけだ…」

男「お前が一番だって…」

許嫁「何それ…寒気が…」

男「どうしろって言うんだよ?」

許嫁「いえ、それでいいわ」

許嫁「じゃあね、男」スタスタ

男「おう、じゃあな」

男「さて、友の所行くか…」



21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:43:45.21 ID:FhtJ9H3w0.n

友「ようよう~許嫁さんと何話してたんだよ~」

男「いや、まあ、ちょっとな」

友「なんだ?言えない内容なのかよ~」

男「…許嫁が困ったことがあったらしくて俺に相談してきただけだ」

友「へぇ~相談…お前ら仲いいの?」

男「いや、グループじゃ話しづらいだとよ」

友「よくあるわ~そういうの」

男「(ふぅ、なんとかごまかしたか…)」

男家



22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:47:06.67 ID:FhtJ9H3w0.n

男「…」

許嫁「遅かったわね」

男「まあ、友とゲーセンで遊んでたから…それでどうした?」

許嫁「いえ、待ってたのよ…」

男「そうか…まあ、ただいま」

許嫁「おかえり」

男「あ、母さん」

男母「なんだい?」

男「今日の弁当いつもと味が違ったな、変えたの?」

男母「ああ、許嫁さんが作ってくれたんだよあんたの弁当」

男「マジ?」

男母「わざわざ、嘘吐く所でもないだろ」

男「(ふ~ん…あいつがわざわざ)」

男母「どうだった?」

男「いや、母さんのよりうまかった」

男母「そうかい、それはよかったね~」



23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:52:18.78 ID:FhtJ9H3w0.n

男「…」モグモグ

許嫁「…」

男「ごちそうさま」ガチャガチャ

男「…」スタスタ

許嫁「…」スタスタ

男母「本当に仲良しだねぇ」

男父「ああ、まったくだ!」

男部屋

男「…」

男「…」

許嫁「…」

男「何か用でもあるのか?」

許嫁「いえ、特には」

男「だったら少し離れてくれないか…」

許嫁「いいじゃない…こんな美少女に近寄られてうれしくない男子はいないわ」

男「まあ、そうだな…」

許嫁「…」ギュッ

男「…」

許嫁「少しは反応を示してくれるとうれしいんだけど…」

男「……ッ」

許嫁「反応を示してくれた」ギュ-

男「(ポーカーフェイスは得意だと思ってたのに…)」



24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:54:00.10 ID:FhtJ9H3w0.n

翌日

男「…ふわぁ~」

許嫁「おはよう…」

男「お前…また俺の布団にもぐりこんでるのか…」

許嫁「悪いのかな?」

男「だから、そういうのは…」

男「ま、言っても無駄そうだからいいや」

許嫁「さ、早く起きて男…」

男「はいはい、今起きる…」



25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:56:48.64 ID:FhtJ9H3w0.n

男「いってきまーす」

許嫁「いってきます」

男「…」

許嫁「…」

男「なあ」

許嫁「何?」

男「お前ってイケメンと仲良いよな」

許嫁「そうかしら?」

男「つか、イケメンは確実にお前のこと好きだと思う」

許嫁「それは…いい迷惑ね」

男「…ひどい言い様だな」

許嫁「好きでもない人の好意はいらないわ」

男「ま、お前はそういう奴だな」

男「(ん?ということは俺のことは好き?いや違うか…)」

学校



26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:58:49.29 ID:FhtJ9H3w0.n

男「おはよう…友」

友「なあ、聞いてくれ…男」

男「なんだ?」

友「女さんを見てくれ…」

男「ん?」

女「…あのちょっと」

モブ「女さん俺と付き合ってくれ~」

モブ2「貴様抜け駆けはゆるさん女さん~」

モブ3「女さん…困ってるだろ!女さん~」

モブ4「貴様も変わらないだろ!女さ~ん」



27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:05:17.07 ID:FhtJ9H3w0.n

男「なんだ、アレ…」

友「ああ、女さんがイメチェンしたら超モテモテになったというわけだ」

男「俺の言った事実践したのか…」

友「どうも、そうらしいな…」

男「ふむ、モテモテになったのか…俺の目に狂いはなかったな…」

女「あ、男さん」スタスタ

モブ達「あ、女さん~」

女「お、おはようございます…男さん」

男「おう、おはよう~」

女「あの、男さんのおかげで、自信がつきました…ありがとうございます」

男「俺の目に狂いはなかったって訳だ…」

男「どうだ、友よ」

友「ああ、お前の目に狂いはなかったわけだ…」

友「女さん~俺と付き合って~」

女「みなさんに好意を持ってもらうのは嬉しいんですが…」

友「?」

女「私はその…好きな人が」チラッ

男「?」

友「(ま、まさか…男これを狙って!?)」

許嫁「…」バキッ

イケメン「え?」

許嫁「あ…シャーペンが折れちゃった…」

イケメン「あ、僕の貸してあげるよ」

許嫁「ありがとう、イケメン君」ゴゴゴ



28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:12:18.11 ID:FhtJ9H3w0.n

男「誰が好きかは知らんが応援してるぜ、女」

女「あ、ありがとうございます…」

女「(なんか、好きな人に応援されると微妙だな…)」

友「(き、気付いてないだと…男…貴様はアホだ)」

男「(今日は面倒だな~)」

昼休み

男「さて~弁当弁当っと」

許嫁「…」スタスタ

許嫁「…」

男「…」

許嫁「…」

友「アレ?許嫁さん…?」

許嫁「一緒に食べてもよろしいでしょうか?」

友「ぜひ!」

イケメン「(また男の方に…)」

女「あ、あの…男さん…ご一緒してもよろしいでしょうか」

男「ん?ああ、いいよ、別に」

許嫁「…」

女「あ、許嫁さんも一緒に食べるんですか?」ニコニコ

許嫁「ええ、あなたも?」

女「はい!」

許嫁「それは、それは…」

友「(なんだろ、さっきからなにか異様な雰囲気が…)」

男「(なんで、許嫁、女のこと睨んでんだろ…)」



29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:16:01.22 ID:FhtJ9H3w0.n

男「友…なんだこの変な雰囲気は…」

友「俺が一番聞きたい…何これ?ラブコメ?」

男「なんで、ラブコメなんだ…ラブコメはもっとふわふわしてるだろ」

友「そうだな、修羅場って奴だよ男」

男「修羅場?なんで?」

友「いや、まあ、いいや」

女「(もしかして…許嫁さん…)」

許嫁「(男は渡さないわ…)」

男「まあ、すぐに仲良くなるってきっと」

友「相容れない関係になりそうな予感が俺はするよ」



31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:22:59.14 ID:FhtJ9H3w0.n

放課後

男「ん?」

女「行きましょうか」

許嫁「ええ」

男「なんだ…やっぱり仲良くなってんじゃん」

男「ちょっと付いて行ってみよ~」スタスタ

許嫁「単刀直入に聞くわ」

許嫁「あなた、男のことが好きなの?」

女「はい」

許嫁「別に邪魔はしないわ…ただ、もしも私から男を奪ったら」

許嫁「あなたを一生許さない程度…」

女「別に男さんはあなたのものではないはずです」

許嫁「いいえ、彼は私のよ」

許嫁「だって、彼は私の許嫁だもの…」

女「酷く傲慢的ですね」

許嫁「うるさいわ」

女「いつか、愛想つかされるかもしれませんね…」

許嫁「うるさいうるさい…」

女「私だって真剣なんです…」

女「だから、真剣勝負です!!」

許嫁「…」

許嫁「いいわ、受けてたつ」

女「…」

許嫁「…」

男「(ふむ、面倒なことになったもんだ…)」



32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:30:45.84 ID:FhtJ9H3w0.n

男「(多分俺はどちらかの子を泣かせてしまうんだろうな…)」

男「(ハァ…)」

男「…」

男「(早めに決着を着けたほうがいいよな…)」

友「帰ろうぜ~」

男「おう!」

男家

男「…何してるの?」

許嫁「あなたを待ってたのよ」

男「お前はアレか?犬か?」

許嫁「そういうのがお好みなの?」

男「別にそうじゃないけど…ま、俺はもう部屋に行くわ…」スタスタ

男「(…さて、電話するか)」

男「あ、女?男なんだけどさ」

女『何?男くん』

男「明日さ、放課後教室に残ってくれないか?」

女『わかった…』

男「明日…か」

許嫁「…」

許嫁「(放課後…教室…)」

許嫁「(私…本当に愛想つかされちゃったのかな…)」

男「…」



33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:33:59.21 ID:FhtJ9H3w0.n

翌日

男「…」

許嫁「おはよう」

男「おはよう」

男「…」

男母「今日は何か元気ないわね」

男父「きっと昨日頑張りすぎたんだよ」

男母「まったくあなたは」バキッ

男父「…いたいよ、母さん…」

男母「アレはきっと何か悩んでるのよ男は」

男父「そうかな…?」

許嫁「…」

男「いってきます」

許嫁「いってきます」



34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:39:29.61 ID:FhtJ9H3w0.n

男「…」スタスタ

許嫁「あの、男…」

男「ん?」

許嫁「あの……」

男「どうした?らしくないな」

許嫁「いや、いいわ…あなたはあなたで答えを出して…」

男「何のことだよ?」

許嫁「別になんでもないわ」

男「そうか…」

男「(なんでもないか…)」

学校

友「おはよう!!」

男「おう、おはよう」

友「今日はいつにもまして元気ないな」

男「なんだ、お前俺はいつでも元気もりもりだぞ」

友「ふーん…ま、いいけど」

男「なんだよ…」

友「まあ、何悩んでるかはしらんが…あんまり深く考えないほうがいいぞ?」

男「サンキュ…」

男「なんか、少し楽になった…」

友「さすが、俺だ!」

男「はいはい、さすがさすが」

女「男さん…」

男「あ、女」

女「今日…その」

男「ああ、放課後な」

女「はい」

友「?」



35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:42:49.36 ID:FhtJ9H3w0.n

昼休み

男「うま…これマジうまい」

友「お前…俺のおかずだぞ…」

男「気にするな…」

友「はあ、まったく」

男「まあ、あれだ…」

男「うまいからさ、良しとしてくれ」

友「なんでだよ…っ!」

男「うめぇ~」



36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:46:09.17 ID:FhtJ9H3w0.n

男「気に入ったわ…でもまあ、俺の弁当の方がいいかな」

友「ふざけんな、俺にもよこせ!」

男「ダメだ!」

友「ふざけるな!!」

男「もう食っちまってるんだがな」

友「ぐああぁ!チッ…なかなかやりやがるぜ」

男「悪いが俺の勝ちだ…」

友「いや、貴様…何か一つ忘れてないか?」

男「何?」

友「貴様の玉子焼きが好きだったな…」

男「それがどうした?」

友「一つしかなかっただろ」

男「ああ」

男「…ッ!まさか」

友「ああ、そのまさかだ…俺が食った」

男「貴様ぁぁ!!」

友「ぐわはっはっは!」

男「くそぉ…」



37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:52:29.76 ID:FhtJ9H3w0.n

男「はぁ…虚しい」

友「まったくだ…」

男「はあ…」

放課後

友「帰ろうぜ~」

男「あ、悪い俺用事あるから」

友「なんだよ~」

友「ま、いっか」

友「じゃあな」

男「おう、じゃあな」

15分後

男「さて、やっと誰もいなくなったか…」

女「あの、話ってなんですか?」

男「ん…ああ、それなんだが」

男「単刀直入に言う…俺許嫁と女の話聞いてたんだ」

女「…ッ」

男「で、俺は…お前に返事を」

女「ちょっと待ってください…」

男「な、なんだ?」

女「その前にちゃんと告白させてください…」

男「あ、ああ…わかった」

女「私…暗い性格だったんですよね…」

男「あ、そうなの?」

女「男くんが…私を変えてくれたんです…」

男「そんな大層なことしてないけどな」

女「私にとってはすごいことをしてくれたんです…だから」

女「私はあなたが好きです…どうか、付き合ってください」

男「…」



38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:57:17.87 ID:FhtJ9H3w0.n

男「ごめん、俺はお前の告白を受けれない…」

女「…ッ」

女「やっぱり許嫁さん…ですか」

男「ああ、俺は…俺はあいつが好きなんだ…」

女「そうですか…あ~あ…振られちゃった…」

男「ごめん…」

女「謝らないでくださいよ、み、惨めじゃないですか…」

女「私は…私は…これだけ伝えれば結構です…これからも」

女「友達ではいてください…」

男「ああ、当たり前だ」

女「ありがとう…ございます…」

女「さ、次はあなたの番です…頑張ってください」

男「…ああ」

女「それでは、さようなら…」

男「じゃあな」

ガラガラ

女「…」ポロポロ

女「ふぅ、男くんの前では泣かない…」ポロポロ

女「が、我慢できた…」ポロポロ

女「う、う…」ポロポロ



40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 03:05:23.07 ID:FhtJ9H3w0.n

男「…ッ」

男家

男「許嫁いるか?」

男母「え?許嫁ちゃんまだ帰ってきてないけど?」

男「マジか…」

男「チッ…どこだ?」

男「許嫁…」

男「!」

男「許嫁!」

許嫁「…男?」

許嫁「どうしたの?男…」

男「いや、お前こそ何してんだ?こんな所で…」

許嫁「私は…振られたんだ~縁談の話も何したいんでしょ…」

男「何の話だ?」

許嫁「私より、女の方がいいんでしょ!」

男「んな訳ないだろ」

許嫁「いいんだよ!別に嘘吐かなくて放課後の教室なんて告白以外ないでしょ」

男「俺は…お前を選んだよ…許嫁」

男「俺の傍に居て欲しいのお前なんだよ許嫁…」



41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 03:12:09.04 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「意味わからん…私より女の方がいいんじゃないの?」

許嫁「もう、いいよ」

男「お前な…何らしくないこと言ってんだよ」

男「お前は完璧な美少女なんだろ?」

男「俺より全然優れてるんだろ?」

男「俺のこと好きじゃないのか…?」

許嫁「…好き」

許嫁「本当に私でいいの?後で後悔しても知らないよ?」

男「後悔するわけないだろ…」

男「俺の中でお前が一番だよ」

許嫁「…男ぉぉ」ギュッ

男「うお!」

男「…」ヨシヨシ

許嫁「…うぅぅ」ポロポロ

男「(結局、俺…どっちも泣かせてる)」

許嫁「男…男が私のこと好きっていう証拠見せて…」

男「これが証拠じゃだめ?」

許嫁「…」コクンッ

男「…」

チュッ

許嫁「…ッ!」

男「これで、いいか」

許嫁「…」///

許嫁「うん」



42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 03:13:17.88 ID:FhtJ9H3w0.n

終わり



44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 03:21:49.55 ID:qfx2i95Ha.n

面白かった乙



元スレ
http://www.logsoku.com/r/2ch.sc/news4vip/1450453780/
1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 00:49:40.93 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「アンタみたいのがねぇ…」

男「ふうん、普通にかわいいのな」

許嫁「ハァ?アンタ何当たり前なことを言ってるの?」

男「はぁ、すみませんでしたねぇ」

許嫁「まあいいわ、さっさとお父様とお母様に挨拶するわよ」スタスタ

男「…ハァ」

男父「いやぁ~まさかこんなべっぴんさんとは…」

男父「よかったな、男!」

男「まあ、そうだな」

男母「これからも末永くよろしくね」

許嫁「こちらこそ…」ペコッ

男母「あら、礼儀正しくて男にはもったいないわ」

男「失礼だな…」

男「まあ、よろしく」

許嫁「よろしく、男さん」

男「(外面は最高だな…)」




4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 00:53:57.55 ID:FhtJ9H3w0.n

男「そういえば、許嫁はどこで寝るんだ?」

男母「それがね、空き部屋が無くって…男の部屋で寝てもらうわ」

男「そうか、わかった」

男父「いいか、男…くれぐれも…」

男「父さん…」

許嫁「さ、男さん…部屋へ行きましょう」

男「ちょ…」

男部屋

許嫁「くれぐれも、襲ったりしないでね」

男「当たり前だ…」

男「(そういうのは、ちゃんと考えてるから…マジで)」



6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 00:58:42.60 ID:FhtJ9H3w0.n

男「で、何か話しでもあるのか?」

許嫁「ええ、あるわ」

男「なんだよ…」

許嫁「私たちって同じクラスじゃない」

男「ああ、そうだな…いきなりの縁談だ正直びっくりした」

許嫁「まあね…本当、最悪だわ」

男「失礼ですね…最悪って」

許嫁「だってそうでしょ?」

許嫁「私みたいな完璧な美少女があなたみたいな」

許嫁「平均的な男と結婚するんだから」

許嫁「泣きながら感謝して欲しいわ」

男「(マジで泣かしてやろうか…)」



7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:02:35.67 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「あ、そうそう同じクラスだからって話しかけたりしないでね」

男「はいはい…」

男「(別に用事が無けりゃ話しかけたりしないって)」

男「お前って傲慢な性格だな」

許嫁「大丈夫よあなたにだけだから」

男「(なんとうれしくない特別…)」

男「まあ、いい…とりあえず今日はもう寝ろ…」

許嫁「そうするわ」



8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:05:51.88 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「お休み…」

男「(当然のようにベットで寝てやがる…)」

男「布団敷くか…」

翌日

男「…朝か」

男「…ん~」

許嫁「遅いわね…」

男「うお!何で俺の布団の中に入ってるんだ…」

許嫁「悪い?」

男「いや、悪くないけど…いや、悪いな」

男「そういうのはダメだまだ早い俺達は学生だしな」

許嫁「かちかちね…」

許嫁「まあ、いいわ」

男「顔洗ってくるか…」



10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:08:24.95 ID:FhtJ9H3w0.n

登校

男「…」

許嫁「…」

男「なあ、なんで一緒に登校してるわけ?」

許嫁「ダメかしら?」

男「つか、話しかけて欲しくないんだろ?」

許嫁「そうね…」

男「だったらよ…」

許嫁「わかったわ…学校に着くまでね」

男「まあ、もうどうでもいいや」

学校



11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:12:35.35 ID:FhtJ9H3w0.n

男「おはよう」

友「おはよう、男~」

友「なあ、聞いてくれよ」

男「なんだ?」

友「実はさ、今日な…許嫁さんに話しかけたんだよ」

男「ふーん」

友「そしたらさ、許嫁さんがおはようって笑顔で返してくれたんだ!」

男「そりゃ、良かったな…」

友「ありゃ、俺に惚れてるぜ」

男「そいつは考えすぎじゃないか」

友「そうかな~」

男「ああ、考えすぎだ…」

友「許嫁さんいいよな~おしとやかで~かわいくて~もう高嶺の花ってやつだな」

男「そうですね~」

友「なんで、こういう話に乗らないのかね君…まさかホモ?」

友「すまん、男、俺はノンケだから」

男「ホモじゃねぇし、仮にホモだとしてもお前とは付き合わん」

友「ガーン」

男「そこでショックを受けるのはおかしい」



12: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:16:50.32 ID:FhtJ9H3w0.n

友「さ、そろそろチャイム鳴るか~」

男「おう、席にもどれ」

友「おう!」

昼休み

男「(やっと昼休みだ…飯食うか…)」

友「男!!」

男「なんだ、貴様…」

友「飯の時間に話しかけられると若干キレるよなお前」

男「唯一の安らぎの時間だぞ」

友「そうだな~あ、許嫁さん見てみろよ」

男「また、許嫁の話か…」

友「アレ?お前呼び捨てだったけ?」

男「俺は基本的に呼び捨てだぞ?」

友「そうだっけ?」

友「まあ、いいや…ほらあの人気っぷり…やばいな」

男「ああ、ヤバイヤバイ」

男「(ん?味付け変えたか?)」



13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:21:35.75 ID:FhtJ9H3w0.n

男「(こっちの方がなんか好きだな…)」

友「ああ~俺もあっちのグループに入りたいなあ~」

男「入ってくればいいだろ」

友「でもよ~お前が一人になるのは…」

男「お前はいい奴だな…でも気にしなくてもいいぞ?」

友「本当は入る勇気がないんだよ~」

男「そうか、まあ、そんなこったろうと思ったが」

男「ごちそうさま」

友「あ、もう食ったの?」

男「ああ、お前全然食ってないな…」

友「話に夢中になりすぎたわ…」

友「それにしても…あいつちょっとベタベタしすぎじゃない?」

男「誰が?」

友「ほら、あのイケメン君さぁ~」

許嫁「へぇ~」

イケメン「なあ、今日どっかに行かない?」

友「くそ…いちゃいちゃしやがって」



15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:27:03.22 ID:FhtJ9H3w0.n

男「そうだな…付き合ってるのかな?」

友「まあ、お似合いだよな…」

男「そうだな…お似合いお似合い」

友「男?どうした?お前なんか若干機嫌が悪いように見えるけど?」

男「気のせいだろ…俺はいつも通りです」

友「そうか?」

友「あ、もしかしてお前…許嫁さんのこと…」

男「…お前は本当にそういう話が大好きだな…別にそういうのじゃない」

男「まあ、強いて言うなら女の方が俺の好みだぜ」

友「マジで?あの地味な?」

男「お前地味とか言うなよ…光る原石だろアレ絶対」

友「本当かよ~」



16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:30:44.72 ID:FhtJ9H3w0.n

男「じゃあ、ちょっと女を改造してみよう」

友「マジ?おもしろそう…俺も俺も」

男「よ、女」

女「あ、男さん…どうも」

友「あのさ、あのさ、女さんっておしゃれに気を使ってるの?」

女「いえ、そんなに…」

男「お前さ、顔は良いんだからさ、ちょっと髪型なんとかして」

男「コンタクトにしたら絶対にモテるって」

女「そんな、私は別に」

男「いやいや、女はおしゃれしてなんぼってな」

男「死んだ姉が言ってたんだ…」

女「え…えと、すみません」

友「お前、嘘吐くなよ…信じちゃったじゃん女さん」

女「え、嘘なんですか?」

男「ああ」

女「ひ、ひどいです!」

男「ごめんごめん」



17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:34:07.19 ID:FhtJ9H3w0.n

男「ま、あくまで俺のは参考程度にね…」

友「そうそう、鵜呑みにする必要はない!」

女「で、でも…ありがとうございました」

男「いえいえ」

友「お前、本当に好きなそういうの」

男「何が?」

友「ちょっかいって言うか…」

男「おもしろいじゃん」

友「まあ、それで本当に綺麗になったら俺がゲットしてやる…」

男「おう、頑張れ~」

許嫁「…」ジィー

イケメン「許嫁さん?」

許嫁「あ…どうしたの?イケメンさん…」

イケメン「いや、どうしたのかなって…」

許嫁「いえ、別にどうもしてないわ…」

イケメン「で、どうかな?今日…」

許嫁「ごめんなさい、イケメンさん誘ってもらってうれしいけど用事があるから」

イケメン「そっか…残念だな」



18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:36:26.03 ID:FhtJ9H3w0.n

放課後

男「さて、帰るか」

友「そうだな~」

許嫁「男」

男「ん?」

友「え…許嫁さん!?」

許嫁「ちょっと来て…」グイッ

男「え、ちょっと?」

友「なんだ~あれ…羨ましいな…」

イケメン「…」

男「なんだよ?」

許嫁「あれはどういうつもり?」

男「あれ?」

許嫁「女さんにベタベタしてたじゃない…」

男「ベタベタってただ話してただけだろ」



20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:40:04.32 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「私より女さんの方がいいわけ?」

男「いいってなんだよ?」

許嫁「私より女さんと結婚したいの?付き合いたいの?」

男「別にそんなことはないって、ただあそこでお前の話題を出したら」

男「迷惑になると思ったから、あんな風に言っただけだ…」

男「お前が一番だって…」

許嫁「何それ…寒気が…」

男「どうしろって言うんだよ?」

許嫁「いえ、それでいいわ」

許嫁「じゃあね、男」スタスタ

男「おう、じゃあな」

男「さて、友の所行くか…」



21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:43:45.21 ID:FhtJ9H3w0.n

友「ようよう~許嫁さんと何話してたんだよ~」

男「いや、まあ、ちょっとな」

友「なんだ?言えない内容なのかよ~」

男「…許嫁が困ったことがあったらしくて俺に相談してきただけだ」

友「へぇ~相談…お前ら仲いいの?」

男「いや、グループじゃ話しづらいだとよ」

友「よくあるわ~そういうの」

男「(ふぅ、なんとかごまかしたか…)」

男家



22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:47:06.67 ID:FhtJ9H3w0.n

男「…」

許嫁「遅かったわね」

男「まあ、友とゲーセンで遊んでたから…それでどうした?」

許嫁「いえ、待ってたのよ…」

男「そうか…まあ、ただいま」

許嫁「おかえり」

男「あ、母さん」

男母「なんだい?」

男「今日の弁当いつもと味が違ったな、変えたの?」

男母「ああ、許嫁さんが作ってくれたんだよあんたの弁当」

男「マジ?」

男母「わざわざ、嘘吐く所でもないだろ」

男「(ふ~ん…あいつがわざわざ)」

男母「どうだった?」

男「いや、母さんのよりうまかった」

男母「そうかい、それはよかったね~」



23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:52:18.78 ID:FhtJ9H3w0.n

男「…」モグモグ

許嫁「…」

男「ごちそうさま」ガチャガチャ

男「…」スタスタ

許嫁「…」スタスタ

男母「本当に仲良しだねぇ」

男父「ああ、まったくだ!」

男部屋

男「…」

男「…」

許嫁「…」

男「何か用でもあるのか?」

許嫁「いえ、特には」

男「だったら少し離れてくれないか…」

許嫁「いいじゃない…こんな美少女に近寄られてうれしくない男子はいないわ」

男「まあ、そうだな…」

許嫁「…」ギュッ

男「…」

許嫁「少しは反応を示してくれるとうれしいんだけど…」

男「……ッ」

許嫁「反応を示してくれた」ギュ-

男「(ポーカーフェイスは得意だと思ってたのに…)」



24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:54:00.10 ID:FhtJ9H3w0.n

翌日

男「…ふわぁ~」

許嫁「おはよう…」

男「お前…また俺の布団にもぐりこんでるのか…」

許嫁「悪いのかな?」

男「だから、そういうのは…」

男「ま、言っても無駄そうだからいいや」

許嫁「さ、早く起きて男…」

男「はいはい、今起きる…」



25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:56:48.64 ID:FhtJ9H3w0.n

男「いってきまーす」

許嫁「いってきます」

男「…」

許嫁「…」

男「なあ」

許嫁「何?」

男「お前ってイケメンと仲良いよな」

許嫁「そうかしら?」

男「つか、イケメンは確実にお前のこと好きだと思う」

許嫁「それは…いい迷惑ね」

男「…ひどい言い様だな」

許嫁「好きでもない人の好意はいらないわ」

男「ま、お前はそういう奴だな」

男「(ん?ということは俺のことは好き?いや違うか…)」

学校



26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 01:58:49.29 ID:FhtJ9H3w0.n

男「おはよう…友」

友「なあ、聞いてくれ…男」

男「なんだ?」

友「女さんを見てくれ…」

男「ん?」

女「…あのちょっと」

モブ「女さん俺と付き合ってくれ~」

モブ2「貴様抜け駆けはゆるさん女さん~」

モブ3「女さん…困ってるだろ!女さん~」

モブ4「貴様も変わらないだろ!女さ~ん」



27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:05:17.07 ID:FhtJ9H3w0.n

男「なんだ、アレ…」

友「ああ、女さんがイメチェンしたら超モテモテになったというわけだ」

男「俺の言った事実践したのか…」

友「どうも、そうらしいな…」

男「ふむ、モテモテになったのか…俺の目に狂いはなかったな…」

女「あ、男さん」スタスタ

モブ達「あ、女さん~」

女「お、おはようございます…男さん」

男「おう、おはよう~」

女「あの、男さんのおかげで、自信がつきました…ありがとうございます」

男「俺の目に狂いはなかったって訳だ…」

男「どうだ、友よ」

友「ああ、お前の目に狂いはなかったわけだ…」

友「女さん~俺と付き合って~」

女「みなさんに好意を持ってもらうのは嬉しいんですが…」

友「?」

女「私はその…好きな人が」チラッ

男「?」

友「(ま、まさか…男これを狙って!?)」

許嫁「…」バキッ

イケメン「え?」

許嫁「あ…シャーペンが折れちゃった…」

イケメン「あ、僕の貸してあげるよ」

許嫁「ありがとう、イケメン君」ゴゴゴ



28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:12:18.11 ID:FhtJ9H3w0.n

男「誰が好きかは知らんが応援してるぜ、女」

女「あ、ありがとうございます…」

女「(なんか、好きな人に応援されると微妙だな…)」

友「(き、気付いてないだと…男…貴様はアホだ)」

男「(今日は面倒だな~)」

昼休み

男「さて~弁当弁当っと」

許嫁「…」スタスタ

許嫁「…」

男「…」

許嫁「…」

友「アレ?許嫁さん…?」

許嫁「一緒に食べてもよろしいでしょうか?」

友「ぜひ!」

イケメン「(また男の方に…)」

女「あ、あの…男さん…ご一緒してもよろしいでしょうか」

男「ん?ああ、いいよ、別に」

許嫁「…」

女「あ、許嫁さんも一緒に食べるんですか?」ニコニコ

許嫁「ええ、あなたも?」

女「はい!」

許嫁「それは、それは…」

友「(なんだろ、さっきからなにか異様な雰囲気が…)」

男「(なんで、許嫁、女のこと睨んでんだろ…)」



29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:16:01.22 ID:FhtJ9H3w0.n

男「友…なんだこの変な雰囲気は…」

友「俺が一番聞きたい…何これ?ラブコメ?」

男「なんで、ラブコメなんだ…ラブコメはもっとふわふわしてるだろ」

友「そうだな、修羅場って奴だよ男」

男「修羅場?なんで?」

友「いや、まあ、いいや」

女「(もしかして…許嫁さん…)」

許嫁「(男は渡さないわ…)」

男「まあ、すぐに仲良くなるってきっと」

友「相容れない関係になりそうな予感が俺はするよ」



31: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:22:59.14 ID:FhtJ9H3w0.n

放課後

男「ん?」

女「行きましょうか」

許嫁「ええ」

男「なんだ…やっぱり仲良くなってんじゃん」

男「ちょっと付いて行ってみよ~」スタスタ

許嫁「単刀直入に聞くわ」

許嫁「あなた、男のことが好きなの?」

女「はい」

許嫁「別に邪魔はしないわ…ただ、もしも私から男を奪ったら」

許嫁「あなたを一生許さない程度…」

女「別に男さんはあなたのものではないはずです」

許嫁「いいえ、彼は私のよ」

許嫁「だって、彼は私の許嫁だもの…」

女「酷く傲慢的ですね」

許嫁「うるさいわ」

女「いつか、愛想つかされるかもしれませんね…」

許嫁「うるさいうるさい…」

女「私だって真剣なんです…」

女「だから、真剣勝負です!!」

許嫁「…」

許嫁「いいわ、受けてたつ」

女「…」

許嫁「…」

男「(ふむ、面倒なことになったもんだ…)」



32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:30:45.84 ID:FhtJ9H3w0.n

男「(多分俺はどちらかの子を泣かせてしまうんだろうな…)」

男「(ハァ…)」

男「…」

男「(早めに決着を着けたほうがいいよな…)」

友「帰ろうぜ~」

男「おう!」

男家

男「…何してるの?」

許嫁「あなたを待ってたのよ」

男「お前はアレか?犬か?」

許嫁「そういうのがお好みなの?」

男「別にそうじゃないけど…ま、俺はもう部屋に行くわ…」スタスタ

男「(…さて、電話するか)」

男「あ、女?男なんだけどさ」

女『何?男くん』

男「明日さ、放課後教室に残ってくれないか?」

女『わかった…』

男「明日…か」

許嫁「…」

許嫁「(放課後…教室…)」

許嫁「(私…本当に愛想つかされちゃったのかな…)」

男「…」



33: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:33:59.21 ID:FhtJ9H3w0.n

翌日

男「…」

許嫁「おはよう」

男「おはよう」

男「…」

男母「今日は何か元気ないわね」

男父「きっと昨日頑張りすぎたんだよ」

男母「まったくあなたは」バキッ

男父「…いたいよ、母さん…」

男母「アレはきっと何か悩んでるのよ男は」

男父「そうかな…?」

許嫁「…」

男「いってきます」

許嫁「いってきます」



34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:39:29.61 ID:FhtJ9H3w0.n

男「…」スタスタ

許嫁「あの、男…」

男「ん?」

許嫁「あの……」

男「どうした?らしくないな」

許嫁「いや、いいわ…あなたはあなたで答えを出して…」

男「何のことだよ?」

許嫁「別になんでもないわ」

男「そうか…」

男「(なんでもないか…)」

学校

友「おはよう!!」

男「おう、おはよう」

友「今日はいつにもまして元気ないな」

男「なんだ、お前俺はいつでも元気もりもりだぞ」

友「ふーん…ま、いいけど」

男「なんだよ…」

友「まあ、何悩んでるかはしらんが…あんまり深く考えないほうがいいぞ?」

男「サンキュ…」

男「なんか、少し楽になった…」

友「さすが、俺だ!」

男「はいはい、さすがさすが」

女「男さん…」

男「あ、女」

女「今日…その」

男「ああ、放課後な」

女「はい」

友「?」



35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:42:49.36 ID:FhtJ9H3w0.n

昼休み

男「うま…これマジうまい」

友「お前…俺のおかずだぞ…」

男「気にするな…」

友「はあ、まったく」

男「まあ、あれだ…」

男「うまいからさ、良しとしてくれ」

友「なんでだよ…っ!」

男「うめぇ~」



36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:46:09.17 ID:FhtJ9H3w0.n

男「気に入ったわ…でもまあ、俺の弁当の方がいいかな」

友「ふざけんな、俺にもよこせ!」

男「ダメだ!」

友「ふざけるな!!」

男「もう食っちまってるんだがな」

友「ぐああぁ!チッ…なかなかやりやがるぜ」

男「悪いが俺の勝ちだ…」

友「いや、貴様…何か一つ忘れてないか?」

男「何?」

友「貴様の玉子焼きが好きだったな…」

男「それがどうした?」

友「一つしかなかっただろ」

男「ああ」

男「…ッ!まさか」

友「ああ、そのまさかだ…俺が食った」

男「貴様ぁぁ!!」

友「ぐわはっはっは!」

男「くそぉ…」



37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:52:29.76 ID:FhtJ9H3w0.n

男「はぁ…虚しい」

友「まったくだ…」

男「はあ…」

放課後

友「帰ろうぜ~」

男「あ、悪い俺用事あるから」

友「なんだよ~」

友「ま、いっか」

友「じゃあな」

男「おう、じゃあな」

15分後

男「さて、やっと誰もいなくなったか…」

女「あの、話ってなんですか?」

男「ん…ああ、それなんだが」

男「単刀直入に言う…俺許嫁と女の話聞いてたんだ」

女「…ッ」

男「で、俺は…お前に返事を」

女「ちょっと待ってください…」

男「な、なんだ?」

女「その前にちゃんと告白させてください…」

男「あ、ああ…わかった」

女「私…暗い性格だったんですよね…」

男「あ、そうなの?」

女「男くんが…私を変えてくれたんです…」

男「そんな大層なことしてないけどな」

女「私にとってはすごいことをしてくれたんです…だから」

女「私はあなたが好きです…どうか、付き合ってください」

男「…」



38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 02:57:17.87 ID:FhtJ9H3w0.n

男「ごめん、俺はお前の告白を受けれない…」

女「…ッ」

女「やっぱり許嫁さん…ですか」

男「ああ、俺は…俺はあいつが好きなんだ…」

女「そうですか…あ~あ…振られちゃった…」

男「ごめん…」

女「謝らないでくださいよ、み、惨めじゃないですか…」

女「私は…私は…これだけ伝えれば結構です…これからも」

女「友達ではいてください…」

男「ああ、当たり前だ」

女「ありがとう…ございます…」

女「さ、次はあなたの番です…頑張ってください」

男「…ああ」

女「それでは、さようなら…」

男「じゃあな」

ガラガラ

女「…」ポロポロ

女「ふぅ、男くんの前では泣かない…」ポロポロ

女「が、我慢できた…」ポロポロ

女「う、う…」ポロポロ



40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 03:05:23.07 ID:FhtJ9H3w0.n

男「…ッ」

男家

男「許嫁いるか?」

男母「え?許嫁ちゃんまだ帰ってきてないけど?」

男「マジか…」

男「チッ…どこだ?」

男「許嫁…」

男「!」

男「許嫁!」

許嫁「…男?」

許嫁「どうしたの?男…」

男「いや、お前こそ何してんだ?こんな所で…」

許嫁「私は…振られたんだ~縁談の話も何したいんでしょ…」

男「何の話だ?」

許嫁「私より、女の方がいいんでしょ!」

男「んな訳ないだろ」

許嫁「いいんだよ!別に嘘吐かなくて放課後の教室なんて告白以外ないでしょ」

男「俺は…お前を選んだよ…許嫁」

男「俺の傍に居て欲しいのお前なんだよ許嫁…」



41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 投稿日:2015/12/19(土) 03:12:09.04 ID:FhtJ9H3w0.n

許嫁「意味わからん…私より女の方がいいんじゃないの?」

許嫁「もう、いいよ」

男「お前な…何らしくないこと言ってんだよ」

男「お前は完璧な美少女なんだろ?」

男「俺より全然優れてるんだろ?」

男「俺のこと好きじゃないのか…?」

許嫁「…好き」

許嫁「本当に私でいいの?後で後悔しても知らないよ?」

男「後悔するわけないだろ…」

男「俺の中でお前が一番だよ」

許嫁「…男ぉぉ」ギュッ

男「うお!」

男「…」ヨシヨシ

許嫁「…うぅぅ」ポロポロ

男「(結局、俺…どっちも泣かせてる)」

許嫁「男…男が私のこと好きっていう証拠見せて…」

男「これが証拠じゃだめ?」

許嫁「…」コクンッ

男「…」

チュッ

許嫁「…ッ!」

男「これで、いいか」

許嫁「…」///

許嫁「うん」







元スレ

テーマ : アニメ
ジャンル : アニメ・コミック

女「そんなエロゲみたいな展開ある訳ない」【オリジナルss】

2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 13:28:48 ID:W9s7Z5KU
第一章:痴漢

ガタンゴトン・・・

痴漢(俺は痴漢だ。ただの痴漢)

痴漢(産まれたときから痴漢だった。女を感じさせる手を持っていた)

痴漢(ならば俺は痴漢するしかない。痴漢になるために産まれ男なのだから)

痴漢(今日も電車でターゲットの女を探す)

痴漢(よし。今日はあのドアの前にいる女にしよう)

痴漢(短いタイトスカートを穿きやがって。ムチムチのお尻が誘ってようにしか見えないぜ)

痴漢(では今日もいつものようにやらせてもらうぜ)ス・・・

女「ん・・・」ピクッ
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 13:44:55 ID:W9s7Z5KU
痴漢(ならかなかいい尻だ。布地のサラサラとした感触指が吸いこまれそうな柔らかさ)サワサワ

女「んっ、あ・・・」ピク・・・

痴漢(そう、これだ。普通女は痴漢をされると恐怖しか感じないが俺は違う。俺は特別な手を持っている)サワサワ

痴漢(この手で触られた女は嫌悪感を抱きながらも、体は感じざるをえない)サワサワ

女「や、やめ・・・てきださい・・・・・・」ピクピク

痴漢(いつもと同じだ、最初は抵抗するものも強く拒否しない。この女もしばらくすれば俺の手の快楽に堕ちる)サワサワ

痴漢「そろそろもう少し強くいかせてもらうぜ」ボソ・・・

女「やっ・・・」ピクッ

痴漢(そう言っても手を払うわけでも、大声を上げるわけでもない。それが女の弱さだ)

痴漢(さあ、その柔らかい尻を揉ませてもらうぜ)グッ・・・

痴漢(???)

痴漢(なんだ?手に力が入らねえ、握力がなくなっちまったようだ)

痴漢(いったい俺の手、どうしちまったんだ・・・あ、れ・・・?)

痴漢(俺の小指こんな位置にあたっけ?)
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 14:11:38 ID:W9s7Z5KU
痴漢の左小指は捻じれ、明後日の方向を向いていた

痴漢「ひっ!?」

そのことを認識した痴漢はさっきまで感じなかった痛みに声をあげそうになった

女「ふっ!」ドス!

痴漢「うっ!!」

しかし出かかった声は鳩尾を襲った衝撃に止められた。あろうことかさっきま何もすることができなかった女の肘が男に突き刺さっていた

痴漢「なっ・・・あ・・・?」パクパク

女「駄目ですよー。声なんか出したら痴漢してたのがバレちゃうじゃないですか」

痴漢「!!?」

間違いない、この女だ。この女が痴漢の小指を捻じり折ったのだ。なにもできなかったのではない、していたのだ
痴漢に気付かれずに、痴漢させたままこの女は痴漢の特殊な手を捻じり折っていたのだ
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 14:15:01 ID:W9s7Z5KU
女「まったく、この私に痴漢をしかけてくるなんて。少々特殊な手をお持ちのようですが」

女「残念でしたね、痴漢さん。そのて幾人もの女の人を痴漢してきたんでしょう」

女「でもね痴漢さん。その手で痴漢すればどんな女も従順に快楽に堕ちるなんて」

女「そんなエロゲみたいな展開あるわけないじゃなですか」

痴漢「!!!」ゾクッ

まずい。痴漢はそう思った。それは恐怖、数多の女をこの手で堕としてきた歴戦の痴漢が初めて味わった恐怖
殺される。痴漢はそう思った。それは殺意、女から放たれる殺意に頭が、体が、心が、ここから一刻も早く離れろと言っている
痴漢は小指の痛みも忘れて駆けだそうとした、ここ電車の中で閉ざされた空間だったとしても、どれだけ周りから視線を集めようとも、痴漢だとバレても
逃げなければならない、この女から、一刻も早く

女「おっと」ゴッ!

しかし、逃走も女の手によって阻止された。いや足、足の阻止された。女はヒールで痴漢の足を踏みつけたのだ
深に足が縫い付けられたようだった

痴漢「がっッッ!?」

女「なにも逃げることないじゃないですか」

逃げられない。この女からは逃げられない

女「まったく、いつかこうなるって考えなかったんですか?なんでも下半身でものごと考えるからこうなるんですよ」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 14:24:02 ID:W9s7Z5KU
女「痴漢さん。触るのが大好き痴漢さん。そんなに触るのがすきなら私からも触ってあげましょうか?」

痴漢「なっ!?」

女はあろうことかその細い手で、なんの力もなさそうな手で痴漢の股間を握ってきた

女「強く、強く触ってあげますよ」

そう言って、女はギリギリと痴漢の睾丸を握る

痴漢「が、あッッッ・・・」

潰される。このままでは握りつぶされる。逃げられない、殺される

女「どうですか痴漢さん?女に痴漢されて気持ちいですか?」ギリギリギリ

ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!!

痴漢「や、やめ・・・」

アナウンス「次は上野~、上野~」

痴漢のなけなしの懇願もアナウンスの声にかき消された

女「あ、降りなきゃ」

女がそう言った。助かった、痴漢はそう思った。女はもうすぐ降りる、この手から解放される。この地獄から
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 14:38:49 ID:W9s7Z5KU
女「よっと」ブチュッ

痴漢「あ・・・・・・」

一瞬だった。気の抜ける声と同時に痴漢の希望もろとも睾丸を握り潰した
痴漢は叫び声をあげることも悶え苦しむこともできず、白目を剥き口から泡を噴きながら意識を手放した

プシュー。電車のドアが開き、女がホームに降りる。痴漢が崩れ落ちる

女「じゃあね痴漢さん。もう会うこともないでしょ、って聞こえてないか」

ドアが閉まり電車が発車する。堕ちた痴漢を乗せて

女は進む、なにごともなかったように

女「トイレで手を洗おっと」

これはエロゲではありえない物語


終わり
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 14:43:26 ID:B1gvWfN2
エロゲならここから、仲間を連れて来て集団で復讐だな
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 15:06:19 ID:ihVgf2GY
>>8
それじゃクリムゾンじゃないですか、やだー
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 16:43:28 ID:W9s7Z5KU
第二章:レイプ

タタタタタ・・・

女「ううぅ・・・部活のせいで帰るの遅くなっちゃたよー」

どっぷりー

女「やっぱり秋はすぐ暗くなるね。暗い帰り道は怖いよー」

女「早く帰らなきゃ」タタタタ・・・

女「ん?」

女「この公園。ここを突っ切れば近道なんだよね」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 16:51:16 ID:W9s7Z5KU
女「でもこの公園、無駄に広いのに明りすくないし、人気がないんだよね」

女「それに今日朝の集会で・・・」

先生『最近不審者や暴漢が出没してます。下校のさいは暗くなる前に、なるべく一人ならず、危険な所は通らないようにしましょう』

女「暗い、一人、危ない、役満だよー」

女「ううぅ・・・でも早く帰りたいし」

女「大丈夫・・・だよね」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 17:26:40 ID:W9s7Z5KU
女「暗いよー、怖いよー」

女「やっぱりやめりゃあよかった~」

ガサッ!

女「ひっ!?な、なに?」

ヒュー・・・ガサガサ・・・

女「な、なんだ風か。うぅ・・・」

女「お、お化けなんてないさーお化けなんて嘘さ」

ガサッ!

女「ひっ!?お、お化けなんて・・・」

ドサッ!!

女「!!?」バタッ

女(え?なに?なにが起きてるの?)

覆面「ハァ・・・ハァ・・・」

女(馬乗りされてる!?)

女「え?なに?誰?なんなの?」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 17:35:18 ID:W9s7Z5KU
覆面「ハァ・・・ハァ・・・」ガシッ

女「!?なにするの?」ジタバタ

覆面「ハァ・・・ハァ・・・」

女「お、おっぱいなんて触っても私そんなないよ?」ジタバタ

覆面「大人しくしろ。そうすれば痛い目をみずにすむ」

女「!!?」

 (ま、まさかこの人が今朝集会で言ってた暴漢!?)

女「き、きゃあっムグっ!?」

覆面「静かにしろ」ギラ

女(な、ナイフ!!)ジタバタ

覆面「・・・・・・」ドスッ

女「ん!?」ビクッ
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 21:24:31 ID:W9s7Z5KU
覆面の男は女の顔の横にナイフろ突き立てた

覆面「大人しくしてろ。次からは刺すぞ」

女「う・・・」

覆面「ハァ・・・ハァ・・・」

覆面の男が女の胸を乱雑に掴む

女「う・・・う・・・」

覆面「ハァ・・・ハァ・・・」

覆面の男は片手で制服の胸元を開こうとするも、片手では上手くできない。
苛立った男は女の口を押さえつけていた手を離し、両手で開きにかかった。
ブチブチブチ!っとボタンが弾けとぶ

女「きゃっムグ!」

声を出そうとした口をまた男は塞いだ
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 21:25:51 ID:W9s7Z5KU


女「ん、ん、ん・・・」

女が呻いているが、関係ない。その声は誰にも届くことはない。ここには誰もこない。
少し抵抗したところで女の力ではとうてい男には敵わない、さらにこちらにはナイフがある。
この立場が覆ることなど万に一つない

覆面「ハァ・・・ハァ・・・」

覆面の男が酷く興奮した様子で女の胸に顔を近づける。

女「んふ・・・んふ・・・」

このとき覆面の男は気付かなかった。女がさっきから発しているのが呻き声ではなく笑い声だということを
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 21:42:19 ID:W9s7Z5KU
女「ふっ・・・」ブン!

覆面(???)

奇妙なことが起きた。覆面の男の視界が半分真っ暗になったのだ。

覆面(なんだ、目が見えねえ・・・?)

覆面の男は気付かなかった。男の左目はすでに女の右人差し指によって潰されていることを

女「しっ!」

次は女の左腕が動いた。覆面の男は残った右目でその動きをとらえていた。しかし、すでに遅い。
女は指鋏で男の甲状軟骨を挟み潰した。なにも反応することができなかった。

覆面「――ガッ―」

覆面の男が声を出そうとした。でも出るのは血とわずかな息のみ

女「ふっ!!」

第三撃、女の右手が男の睾丸を握りつぶす。

左目失明、喉切断、睾丸圧砕

全て終えるのに、五秒とかからなかった
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 21:50:58 ID:W9s7Z5KU
覆面の男はただ崩れ落ちるのみだった

女「よっと・・・」

女は馬乗りなっていた男をどかす。朝起きて掛け布団をどける、そんな気軽さで

女「ふー。ヤバいヤバい、危うくお嫁に行けなくなるところだったよー」

女は服に着いた、土を払いながら立ちあがる

女「まったく、制服めちゃくちゃにして、ボタン縫いつけるのちょっと面倒なんだよ」

女「まったくそんなだから女にもてないたよ。そんなんだからこんなことしでかして、こんな目にあうの」

女「女なら抵抗できないと思った?一度犯してしまえばあとは大人しくなると思った?チンチン突っ込めば快楽をもとめて言いなりなると思った?」

女「そんなエロゲみたいな展開あるわけないでしょ」

覆面「―――」

覆面の男はなにも言えない、ただ地に伏すのみ
18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/18(日) 22:00:28 ID:W9s7Z5KU
女「ああそうだオッサン。四玉って知ってる?」

女「眼、喉、睾丸、後頭部のことをいうんだけど。武術を実戦で使うとき、この四つの急所を攻撃するのが定石なんだって」

女「っで、いま三つ潰したんだけど、あと一つ残ってのも気持ち悪いからそっちも潰すね」

ゴンッ!!

鈍い音が、人の気ない公園に響いた

女「あ、そういえばこの人どんな顔だったんだろ」

女は男の覆面を剥ぐ

女「なんかプロレスラーのマスク剥いでるみたい。げっ!血が付いた、気持ち悪!」

女は男の覆面を取った

女「・・・あちゃー、こりゃ覆面するわけだわ」

女「来世では女にもてるといいね」

これはエロげではありえない物語



19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 04:19:23 ID:p8PWEc8k
かっけー
凌辱ものが大っ嫌いだから見ててスッキリする

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 16:08:09 ID:e6JBds0c
第三章:脅迫

女「ふんふっふーん♪」

女「今日も元気に学校へ登校ふっふふーん♪」

女「うーん良い天気!でも熱い~、やっぱ夏ね」

女「歩いてるだけで汗が出るわ・・・ん?」フキフキ

女「あれ?これハンカチじゃない?」

パンツ「やあ」ピラーン

女「ちょっ!?」

女(パンツ!?何故に!?も、もしかして今朝間違えて持ってきちゃった!?)

女「っっ」バッ!バッ!

女「よし、誰にも見られてない。学校ではクールで通ってる私のイメージが壊れるところだったわ」カクシカクシ

女(このことは誰にも知られないようにしないと・・・)

???「やあ!」

女「!!?」ビクーン!!
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 16:23:49 ID:e6JBds0c
女(何奴!?)

男「おはよう。女さん」

女(お、男くーん!!)

男は隠れ爽やかイケメンである。普段は隠れているが時折イケメンになり、
そのルックスと優しい性格に彼に恋する女子も少なくない。
かくいう女もその一人。男とは幼馴染で、結婚の約束もしている(五歳の頃)と彼女は言う。

女(はわわ、今日もカッコイイよー///)

男「? どうかしたの女さん?顔、赤いよ?」

女「な、なんでもないわ!おはよう、男君」

男「うん、おはよう。ホントに大丈夫?」

女「大丈夫よ!赤いのは、そう!暑いからよ!」

男「そうか、よかった。熱でもあるんじゃないかと心配したよ」ニコッ

女「はうっ!!///」

女(わーん!私のバカバカバカ!!男君に心配かけてどうするのよー!!)

女「と、ところで男君、声をかけてきたのだから、なにか私に用でもあるの?」

女(バカー!!なんでそんなにツンケンするのよ私ー!!)
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 16:29:06 ID:e6JBds0c
男「用ってほどのことでもないんだけど。えっと一緒に学校に行ってもいいかな?」

女「!? え、ええ。良いわよ」

女(むしろ大歓迎だよー///)

女「じゃ、じゃいきましょうか//」

男「うん、女さん」

女(女さん、か・・・・・・)

女(昔みたいに、女ちゃんって呼んでくれないのかな)
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 16:46:43 ID:e6JBds0c
・・・・・・・

女(上手くお話できずに校門前まできてしまったわ・・・)

女「はぁ・・・」

男「?」

???「よっす、ご両人!一緒に登校かい?」

女(げっ!)

男「ん? ああ、坊主か。おはよう」

坊主「おはっす!」

坊主は見たとおり坊主である。軽い、スケベ、チャライため女は毛嫌いしている

女(なにしにきやがったこのクソ坊主!?)

坊主「お二人さん朝から熱いねー。こんなに暑い朝なのにまだ熱くするきかい?」

女「なっ!?」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 16:47:22 ID:e6JBds0c
坊主「もしかして昨晩も熱い夜を過ごしたとかー?」

女「ちょっ!?」

女(なに言ってるのこのクソ坊主は~!!)

男「? 別に、昨日の夜は涼しかったけど?」

女(男くんてんねーん!!でもそんなところも好きー///)

坊主「そういう意味じゃねえんだけど・・・。なあ二人は付き合ってるんだよな?」

女「!!?」
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 16:53:11 ID:e6JBds0c
女「な、なに言ってるの!?そんなわけ・・・」

男「違うよ?」

女(男くんのてんねーん、そして素直になれ私ー・・・)ズーン・・・

坊主「そうなの?じゃあ俺が女さんの彼氏に立候補しちょおっかなー?」

女「ないわ」

坊主「酷ッ!!ごめんなさいでも断るでもなくてないって、可能性すらないんですかー!?」

女(それは男君限定なのよ)
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 17:02:14 ID:e6JBds0c
・・・・・・

キーンコーンカーン

女(お昼休みね。今日こそ男くんと一緒に食事するのよ!)メラメラ

女(と、その前にトイレ・・・)







女「ふんふーん」ジャーキュッキュ ガサゴソ

女(?あれ、ハンカチがない。あ!そうか、今日忘れてきちゃったんだった・・・)

女「あれれ?」

女(じゃあ間違えて持ってきたパンツはどこ?)
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 17:09:45 ID:e6JBds0c
ガサゴソ

ガサガサガサガサガサゴソゴソゴソゴソッッ!!!

女「な、ない・・・」

女(ない!?嘘!どこかで落とした!?)

女(落ち着くのよ女!廊下で落としたとは考えられにくい。ではあとは教室か・・・)

女(体育の着替えのさい使った女子更衣室!あそこかー!!)ドタドタ




女「ハァ・・・ハァ・・・」

女(ここしか考えられない。早くパンツを回収して、男君とお昼よ!)ガチャッ

坊主「ん?」

女「」

女(な、なんでいんだクソ坊主~!!?)
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 17:17:48 ID:e6JBds0c
坊主「ありゃ、女さん。どうかしたかい?」

女(それはこっちのセリフだー!!)

女「あ、あなたここでなにしてるの!?」

坊主「なにって・・・いやー甘い香りに誘われていつのまにか、みたいな?」

女(虫か!?)

女「フザケナイで!!そんな言い訳が通じるとでも・・・」

坊主「で、甘い香りに誘われたらこんなもの見つけた」

パンツ「やあ」

女「」
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 20:19:03 ID:e6JBds0c
女(私のパンツー!!)

坊主「でもこれ甘いというか臭いな、汗臭い」スンスン

女(ぎゃあああああ!!?嗅ぐなああああ!!)

女「ちょっとなにやってるの!!返しなさいよ!!」

坊主「え?もしかしてこのパンツ、女さんの?」

女(しまったーー!!)

坊主「ていうことは女さん、今ノーパン?」

女「そんな訳ないでしょ!!」
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 20:28:01 ID:e6JBds0c
坊主「どれどれ」バッ!

女「きゃっ!?」

坊主「あ、本当だ。穿いてる」

女「vmぱえoiaあgp☆!!?な、なななにするのよ!?」

坊主「うーん。でも女さん穿いてるってことは、女さんパンツ二枚もってきたことになるけど、どうして?」

女「そんなことどうでもいいでしょ!!いいから早く返しなさいよ!!」

坊主「うーん・・・どうしよっかなー」

女「は?」

坊主「女さんが俺がここにいたこと黙っていてくれるなら、返してあげてもいいよ?」

女「はあああ?アンタ交渉できる立場にいると思ってるの?」

坊主「じゃあ、これ返してあーげない」

女「だから・・・」

坊主「男に見せちゃおっかなー?」

女「!?」
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 20:38:19 ID:e6JBds0c
女「なっ!?」

坊主「女さんがいうこと聞いてくれないと、女さんが臭いパンツ学校に持ってきたって男に言っちゃおうかもよ?」

女「!!!」

坊主「男だけじゃなくて、他の奴にも言おうかなー。女さん好きなやつ結構いるし、そいつらに話したら幻滅するかな?それとも夜のオカズにされるかな?」

女(まずい!!まずいマズイマズイ!!正直その他はどうでもいいけど、男君にだけは知られたくない!)

女(私がハンカチと間違えてもってきたパンツで汗を拭いたって知られたくない!!)

女「な、なにが目的なの?」

坊主「だから黙っててほしいんだって、ここで起きた全てをね」ガシッ!

女「なっ!?ちょっと放して!!」

バン!!

女「くっ」

女(両手を掴まれてロッカーに押さえつけられた!!)
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 20:46:19 ID:e6JBds0c
坊主「朝の告白、俺結構マジだったんぜ?」

女「な、なに?」

女(なんで顔を近づけてくるの?もしかして!?イヤ、嫌!!)

女「や・・・・・・」

女(そこは男くんだけに・・・・・・)

女「や・・・」

女「ヤメロやがれ!!このクソ坊主ッッ!!!」ゴッ!!

坊主「ガッ!?!?」
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 20:59:20 ID:e6JBds0c
坊主はいけると思っていた。女が男に片思いをしていることに気づいていたから、
男の名前を出せば、言いなりになる。そう思っていた。

しかし・・・

坊主「な・・・・あ・・・?」

なんだこれは?衝撃が来た、硬い鈍器のようなもので殴られた衝撃が

坊主(な、なにが・・・)

目の前がチカチカ光る、膝が震え、まるで乗り物酔いしとような感覚、立っているのがやっとだ。
そして、痛い。イタイ痛い痛い痛い!!
ボタボタと何かが床に滴り落ちる

坊主(血・・・? 鼻血を出しているのか?俺が!?)

坊主の考えは半分当たっていて半分はずれていた。

流れていたのは鼻血だけではない。口、前歯が上唇を突き破ったことにより、口から血が流れていたのだ

女「たくよー」

坊主「!!?」

その声はいままで聞いたことのない声だった。目の前にいる可憐な少女から出る声だとは思えなかった
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 21:15:02 ID:e6JBds0c
女「せっかく隠してたのによー。でもヤメだヤメだ馬鹿らしい」

目の前にいる少女はさっきまで押さえつけていた女だ。俺が絶対的に優位に立っていて、
目の前の少女は支配されるだけの女だったはずだ。
坊主はそう思った

女「このクソ坊主が、こっちが下手にでてたら調子に乗りやがって」ザッ

坊主「!!!」

女が、今までとは違う、坊主が今まで押さえつけていたか弱い少女たは違う女が近付いてくる

坊主「ちょっ、ぼんず!ばんづがぷるる!!?」

もはや言葉をなしてなかった。だがそれは脅迫、こっちには脅しのネタがあるんだぞっと言っているのだ。
しかし、
それは、命乞いにしか聞こえなかった

女「あ?パンツ?いいよ言えよ。男君にもその他にも好きなだけ言い振らせ、毛ほどにも気にしねえよ」

坊主「!!?」

女「だいたいこちとら男君とは死が二人を分かつまで一緒にいる計画立ててるだっつーの。パンツ一つがどうしたよ」

女「そんなもん10年前に見せあってるつーの」
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 21:23:41 ID:e6JBds0c
女「脅しのネタを掴めば言いなりになるっと思ったか?好きな男の名前を出せばいけると思ったか?」

女「男の力で抑えつければ抵抗できないだろうと思ったか?唇を奪えば思い通りになると思ったか?」

女「そんなエロゲみたいな展開あるわけないじゃない」

女は坊主の頭を両手で挟んで固定した

女「そんなにキスがしたいなら、好きなだけしなよ」

女「ただし、私の額にね♪」ニコッ

坊主「ひっ!?」

ゴンッ!!
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 21:40:21 ID:e6JBds0c
ゴン!!ゴン!!ゴン!!

打つ、打つ、打つ

女の額が坊主の眉間を、鼻頭を、口を、打つ。額を振り落とす

女「・・・・・・」

坊主「ぁ・・・ブ・・・バ・・・」

最初はあげていた坊主の悲鳴は消え、鈍い音だけが更衣室に響く。
唇は割れ、前歯は折れ、鼻が形を失っても、
女は額を打ちおろすのをやめない
美しい黒髪に隠れた白色の鉄球を、打ちつける、打つ、打つ!、打つ!!

白色の鉄球は傷つこともなければ、血で汚れることもなく、その美しさを保ったままだ
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 21:46:54 ID:e6JBds0c
・・・・・・

女「ま、こんなもんでしょ」

5分後、女の動きが止まった

坊主はもはや、全ての力を失っていた
その顔は丸く凹んでいた。まるでボーリング球をぶつけた発砲スチロールのように

女「さて、こいつどうしよう?」

女は辺りを見まわす。ゴミを捨てるゴミ箱を捨てるために

女「あ、いいこと思いついた」

女は坊主の体をロッカーの中に詰め込む
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 21:56:49 ID:e6JBds0c
女「よし、コレでいいでしょ。このロッカー使う人には悪いけど・・・」キィィバタン

女「着換えようとしたら出てくる鼻血を出した男。どうなるか想像すまでもないわね」

よっと。女はパンツを拾うと流れて手に着いた血をそれで拭う

女「あーあ、このパンツもう穿けなくなっちゃた。まあいっか、クソ坊主が触った時点で焼却処分いきだしね」

女は女子更衣室を後にする。鈍い音が響いていた女子更衣室は、人っ子一人いないように静けさを取り戻した

女(はて?なにか忘れてるような?)

男「やあ、女さん。探したよ」

女「おおおお、男くん!?」ビクン!!
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/19(月) 22:03:24 ID:e6JBds0c
男「あ、ごめん。驚かせちゃったね」

女「べ、べべべ別に驚いてないわよ!!」

男「そ、そう」

女「そそそれで!なんの用かしら?」

男「うん、よかったらお昼、一緒にいいかなって?」

女「え?マジで?」

男「うん、マジ」

女(キターーーーーーー!!)

女「しょ、使用がないわね!べ、別にいいわよ!」

男「ホント!ありがとう。じゃあ屋上でいいかな?」

女「ええ・・・」

男「行こうか、女ちゃん」ニコッ

女「!? うん♪」

これはエロゲではありえない物語







女「そんなエロゲみたいな展開ある訳ない」
元スレ

テーマ : 2ちゃんねる
ジャンル : サブカル

少年「美しい景色を君に見せたい」 ?「…ぴゃぁ」【人外ss】

1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:48:10 ID:A5KaJ/ds

<町外れの街道>

空は青く、高く澄み渡っていた
薄い木綿のように伸びて透き通った雲は、厚い雲と重なり折りたたまれる

街道沿いに一本、大きな枝を伸ばした木がある
その枝に座り、木の葉に隠れるようにして空を見上げるヒトがいた


?「………」

少年「あ。猫みたいな声の、鳥さんだ」

?「ぴゃぅ…?」
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:48:55 ID:A5KaJ/ds

声を掛けると、少女が振り向いた。よくこのあたりで見かける少女…
少女、とはいってもそれは顔立ちの話であって、容姿はヒトの物ではない
ヒトの上半身を持ちながら、翼を背に生やし、足先は三又に分かれている
鳥。彼女はまさしく、鳥だった


少年「何してるの?」

?「ぴゃぁ、ぴゃあぴゃあ」パタパタ

少年「あー。空を、飛ぶ練習をしてるのかぁ」


翼をはためかせ、飛んで…というよりは、ゆっくりと下降してくる彼女
僕の前まで降りてくると、意思の疎通が取れたことを喜んで、可愛らしく笑った
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:49:30 ID:A5KaJ/ds

?「ぴゃぁっ♪」

少年「猫みたいな鳥さん、よかったら手伝ってあげようか?」


何度か声を掛けた事があるけれど、どうやら彼女自身は発語ができないらしい
だから僕は、名前を知ることの無い彼女をこんな呼び方しか出来ないでいる

『猫みたいな鳥』
ヒトみたいな鳥と呼ばないのは、その可愛らしい声のほうが印象的だったからだ
その彼女は、僕の言葉を聴いてその翼をちいさくすぼめた
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:50:03 ID:A5KaJ/ds

?「ぴゅぅ…」ショボン

少年「どうしたの? 大丈夫、飛ぶ練習なら手伝えると思うよ?」

?「ぴゃぁー」フルフル

少年「えっと…、無理だと思うのかな?」

少年「これでも僕、インキュバスなんだ。空も飛べるよ? 翼だってあるし」


僕は、彼女の翼に比べるとだいぶ見劣りのする小さな翼を広げてみせる
それを見て、彼女はすこし驚いたようだった
人間の子供だと思われていたのかもしれない
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:50:37 ID:A5KaJ/ds

?「ぴゃぁ…ぴゃぁー」フルフル

少年「そんなに信用ないかなぁ…大丈夫だってば。ほら、手を貸して」ギュッ

?「ぴゃぁっ!?」パシッ

少年「痛っ…」


反射的、という感じで手を払われてしまった
嫌われているのかと心配したけれど、どうやらそうではないことはすぐにわかった
手を振り払った彼女は、申し訳なさそうに、だけど不安そうに震えていたからだ


?「……」プルプル

少年「…あ、そうか。もしかして、恐いの?」

?「ぴゃぁ……」コクン

少年「立派な翼がついてるのに、もったいないね」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:52:13 ID:A5KaJ/ds

僕は彼女の翼に手を触れる
その翼は思っていたよりもふかふかとしていて暖かく、絹のように滑らかだった
その感触に驚いて、何度も撫でてしまう


?「ぴゃぁ?」

少年「あ、ああ。ごめんね。本当に綺麗な翼だったから…」

?「……ぴゃ?」

少年「自分じゃよく見えないか。君の翼、ちょっとすごいんだよ?」

少年「すごく綺麗な翼。薄く青みがかかった羽先も、ほんのりピンクにそまった根元も綺麗で…とても立派な翼だね」ニッコリ

?「……//」

少年「それなのに、翔べないなんて。もったいないよ」
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:53:01 ID:A5KaJ/ds

?「……ぴゃぁ?」

少年「あー… ごめん、何か聞いてる? 言葉がわからないから…」

?「……」ショボン

少年「ごめんね、猫みたいな鳥さん。わかってあげられなくて…」

僕がそういって頭をさげている間、しばらくオロオロとしている気配がした
多分、彼女は自分の責を感じているのに、僕が先に謝ってしまったことで戸惑っているのだろう


?「……ぴゃぁ…」ペロ

少年「わっ」


突然、手の平に生暖かいようなぬめりとした感覚があり、驚いて目を開く
彼女がしゃがみこんで、僕の手を舐めていた
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:53:33 ID:A5KaJ/ds

少年「え、手? な、舐めた? どうしたの?」

?「…ぴゃぁー」ペロペロ

少年「…ああ。さっき振り払われたとこか… 大丈夫、痛くないよ」

?「ぴゃぁ」ペコリ

少年「あはは。謝らないで、無理やり手を引こうとした僕のせいだ」ニコ

?「ぴ…//」


優しい彼女、可愛らしい、猫のような鳥の女の子
僕はどうにかして、彼女を空に飛ばしてあげたくなった


少年「ねぇ。飛ぶのが怖いのって、高いのが恐いの?」

?「ぴゃぁぅ」フルフル

少年「じゃあ、自分で飛ぶのが恐いの?」

?「ぴゅぅ」コクン

少年「そっか……」
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:54:34 ID:A5KaJ/ds

少年「よし! じゃあ、これならどうだ!」ダキッ

?「ぴゃぁぁっ!?//」


僕は、思い切って彼女を抱き寄せた
大きくて柔らかな翼を、慌てた様子そのままにばたつかせる彼女
その翼があまりに大きくて、僕の視界をさえぎってしまう


少年「縦じゃだめか、じゃあ…えっと、お姫様だっこしちゃえ」グイッ

?「ぴゃっ!? ぴゃぁぁ!?//」

少年「あはは。心配しないで」

?「……ぴぃ?」

少年「高いところに、連れて行ってあげる」バサッ…

?「…ぴゃ…!」

少年「いくよ。猫みたいな鳥さんに、美しい景色を見せてあげたい」


―――――――――――――――――――
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:55:13 ID:A5KaJ/ds

<空、雲の上>

バサ…バサッ… バサッ…

彼女を抱いて空を飛ぶ
僕の小さな翼は細かくせわしなくはばたいているが、それは重さゆえじゃない
もともと、僕の小さな黒い惨めな翼は そのようにしてしか飛べないのだ

実際、彼女は立派な翼を持ちながらもたいした重さを感じなかった
その大きな翼はきっと空気のように軽いのだろうと思い、それを愛しく感じた
だが腕の中の彼女は、空を飛ぶのが怖いのか目を閉じたままだ


少年「猫みたいな鳥さん。目を、開けてみて」

?「……ぴ、ぴぃ…」

少年「すごく、綺麗なものが見えるよ。大丈夫、しっかりと支えているから…」

?「ぴゅぅ…」ソー
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:55:43 ID:A5KaJ/ds

僕が促すと、彼女はそっと目を開けた
ちょうど、西に太陽が傾いている

西の空は真っ赤に燃え上がりながら、空を錦に染め上げていた
僕たちの居る真上はいまだに青
高い場所にある薄い雲の西側だけが、僅かに橙に染まっている
そうしてさらに東の空にいくと、青は濃さを増していく
遠くに見える白い半透明の月が、夜の気配を感じさせて…


少年「あはは。なんだか、時間の狭間に迷い込んだみたいだね」

?「ぴぃ…!」

少年「綺麗?」

?「ぴゃっ♪ ぴぃ、ぴゃぁっ♪」

少年「喜んでくれてよかった。僕も、ここまで綺麗な景色はみたことがないよ。ちょうど、時間もよかったんだろうね」

?「ぴぃっ♪」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:56:56 ID:A5KaJ/ds

興奮した面持ちで、彼女は顔をぐるぐると四方に向ける
ほんのわずかな時間で、色合いを変えていく景色を見逃さないようにしているらしかった
その瞳に写る景色を、僕は見ていた。やはり、とても綺麗だと思った


?「ぴゃぁ……!」

少年「すっかり夢中だね。少し、飛んでみようか」

?「ぴ……」

少年「大丈夫、手は離さないよ。…そのまま、景色を見ていて」


僕は彼女を抱いたままで、踊るように弧を描いて飛ぶ
昼を、夕を、夜を駆ける

まるで何日も時を飛ばしてしまっているかのような錯覚
それでいて幻想的に光り輝く景色だけは、永久のようにも感じられた
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 01:57:38 ID:A5KaJ/ds

その時、強めの風が吹いた
同時に彼女の翼が大きく揺れたのが見える


?「ぴゃー…ぴぃ…」

少年「……? どうしたの…?」

?「ぴゃぁぅ…」プルプル

少年「震えてる…? 風が吹いて、怖くなっちゃったかな・・・?」

?「ぴ…」ブルブル

少年「うん、怖い思いを無理することは無いよ。そろそろ、降りよう」
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 02:04:26 ID:A5KaJ/ds

僕はそういって、彼女をすこし強めに抱きなおしてあげた
先ほどまで興奮した様子で輝いていた瞳も、いまは不安げに翳っている

僅かに震える身体を抱き寄せて、暖かさを伝えることしかその不安を取り除くために出来そうなことはなかった
一体、彼女は何に怯えているのだろうか?
そんな風におもいながら彼女の様子を見ていると、彼女は小さく頭をさげた


?「……」ペコリ

少年「ええと…それは お礼、かな?」

?「ぴゃ」フルフル

少年「じゃあ、謝罪?」

?「……」コクン
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 02:05:23 ID:A5KaJ/ds

少年「謝らないで。少し長居しすぎて、怖い思いをさせてしまったのがいけないから…楽しいうちに、降りればよかったよね」

?「ぴゃぁ…」

少年「怖くないように、ゆっくり降りるから…目を閉じていてもいいからね」

?「……」


そうして、僕たちはゆっくりと時間の流れの中に戻っていった
僅かに震えながら身体と翼を縮こませる彼女は、来たときよりもさらに軽いように思えた…

―――――――――――――――――――
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 11:14:19 ID:8/OyMiic

ぴぁ
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:03:06 ID:A5KaJ/ds

<町外れの街道>


少年「おはよう、猫みたいな鳥さん」

?「…ぴゃぁ♪」

少年「昨日は、よく眠れた?」

?「ぴゃっ♪」パタパタ…


枝の上に座っていた彼女が、相変わらず飛ぶというよりはゆっくり落ちるという風に下降してくる
昨日と同じ、人懐っこい笑顔で僕の前まで降りてくると 几帳面に翼を折りたたんだ
その様子をみて、僕はようやく気がついた
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:05:17 ID:A5KaJ/ds

少年「ねえ、猫みたいな鳥さん。…もしかして、翼を広げるのが下手なの?」

?「……ぴ」

少年「そんなにおおきな翼なんだから、もっと大きく振ってみないと飛べないんじゃないかな」

?「……」

少年「僕の翼は小さいから、パタパタって小刻みに動かすんだけどね」

少年「猫みたいな鳥さんは、大きな翼だから…もっとこう、バサァ!って広げなくちゃ 飛べないかもしれないよ」

?「ぴぃ…!」


なぜか彼女は目を大きく見開いて、声を荒げる様子を見せた
いいたいことはわからないけれど、翼をうまく動かせないのかな、と僕は思う
きっと、彼女が飛べないのはそのせいだ
だけどそれについて、彼女なりに何か理由があるのかもしれない
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:07:24 ID:A5KaJ/ds

少年「あー…そうだ! 翼を広げるのが怖いのなら、飛ばずに広げてみたらどう?」

?「……ぴ?」

少年「あ、でもそんなに大きな翼を広げると、ここじゃ目立つね。どこか広くて目立たない場所に行って、練習しようか」

?「……」

少年「大丈夫、ちょうどいい場所をしってるよ。僕だけのとっておきの場所だし…こんな天気のいい日ならきっと気持ちいいんじゃないかな」

?「ぴゃぁ?」

少年「うまくできなくってもいいよ。遊びに行ってみよう」

少年「文字通り『ゆったりと羽を伸ばせる場所』に連れて行ってあげる」ニコ

?「……ぴゃ//」


そうして僕は、彼女の手を取った
昨日のように驚かせないようにそっと触れて…ゆっくりと引いて歩く
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:08:53 ID:A5KaJ/ds

僕よりも背の高い彼女だけど、決して身をかがめるような身長差じゃない
歩くペースに気を配るために、時折振り返って彼女を見る
どこか楽しげに手を引かれているかとおもうと
次に振り返ったときには物憂げに考えこんでいることもあった

さらにその後ろには、僕の靴の楕円形の足跡が伸びている
それに重なるように、彼女の三又に別れた足跡もくっついている
あの足はきっと歩きにくいだろうな、と思ってペースを緩めてしばらく歩く


少年「ほら、あの森だよ」

?「ぴゃう」

少年「最初のほうだけ、少し道が細いけど…中のほうは広いから大丈夫だからね」

?「ぴゅ」コクン
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:10:22 ID:A5KaJ/ds

少年「森ははじめて?」

?「ぴゃぅ♪」

少年「あはは、そっか。じゃあきっとびっくりするだろうね!」

少年「早く君に、あの美しい景色を見せてあげたい」ニッコリ

?「…ぴゃぁ?」クビカシゲー


森の入り口は、腰高ほどの樹木や草が覆い茂っている
大きな翼を散らしてしまうのではないかと心配だった僕は
彼女の背中側にまわって翼を押さえてあげながら森を進んだ

20メートルも進んだところで、道は開けてきた

背の低い樹木は、大きな木々光を阻まれて生育しにくいのだろう
代わりに、土や木の根元には水分を含んで若草色に輝く苔が目立つようになる
そして…
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:11:34 ID:A5KaJ/ds

?「……!!」

少年「驚いた? 綺麗だよね、森の中って」

?「ぴゃぅ♪ ぴゃああっ♪」コクコク!!

少年「ほら、上のほうを見上げてみて。木々の葉の間から、光が降ってくる」

?「ぴゃぁ……」

少年「いま、この時間なら…まだあるかなぁ」

?「ぴゅぅ?」

少年「ちょっと、そこから見ててね」バサッ


翼を広げて、僕は彼女の頭上のあたりに枝を伸ばす大きな木の葉のあたりまで飛び上がる
6m、8m…かなり背が高い木々が多いのがこの森の特徴だ

木々たちは光を受け止めるために、その幹をどんどんと高く伸ばし、上方に集中して葉を広げている
そうしてその足元には 大きく開けた空間が広がるようになる
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:13:51 ID:A5KaJ/ds

少年「いくよ」

?「ぴ?」

声をかけて 僕は木の葉の間を勢いつけて飛び回る
僕の身体に触れた枝や葉が弾かれ、さらに他の枝にも当たってたくさんの木々がざわめく


?「ぴゃぁっ!」

少年「あはは! びっくりした? よかった! まだ、たくさんの水があるみたいだ!」


明け方、これから訪れる夏の熱気を弱めようとするように僅かに雨が降ったのだ
木々の葉にはその雨水が残っていて、揺れるたびに水を弾き落とす

眼下を見下ろすと、光の射しこむ緑のステージにきらめく水のシャワーが降り注いでいる
彼女はその真ん中で、楽しげにくるくると回りながらこちらを見上げている

彼女の淡い水色をした翼は、雨粒を受けてところどころの色合いを濃くする
桃色にほんのり染まる付け根が、紅潮したかのように鮮やかに輝く
木々の緑を反射した雨粒が降るたびに、空や光を映してしゃぼんのように七色に揺れる

大聖堂にある立派なステンドグラスよりも、よほど美しい光景だった
ひとしきり雨粒を降らせた後で、僕はゆっくりと彼女の前に降りた
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:15:26 ID:A5KaJ/ds

少年「どう? 森の中って、空の上にも負けないくらい綺麗だよね」

?「ぴゃぁぁ♪」コクコク

少年「喜んでくれてよかった! ここは僕のとっておきの場所だけど、猫みたいな鳥さんはいつでも来ていいよ!」

?「ぴゅぅぅ♪ ぴゃぁぁ♪」


彼女が廻る
腕を左右にめいっぱい伸ばして、木々の間を抜けてくるさわやかな夏の風を受け止める

猫のような、転がる鈴の声が森の中に響いて輪唱する
水分をたくさん与えられた苔たちも、嬉しげに輝いているように見えた
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:16:37 ID:A5KaJ/ds

少年「あ、でも そんなに廻ると… 足元は苔だから滑るかもしれn…

?「ぴゃっ……!」ズル、


転びそうになった彼女が、その翼をとっさに広げる
支えようと手を伸ばしたけれど… 間に合わない、そう思ったときだった
瞬間、大きな風が入り込みその翼を煽って彼女を支えてくれた


少年「…ああ、びっくりした。風が猫みたいな鳥さんを助けてくれたね、よかった」

?「……ぴゃ、ぴゃぅ…」ペタン

少年「座り込むと、お尻がぬれちゃうよ」クスクス

?「……ぴゃぁ」

少年「でもよかった。翼、広げられないわけじゃないんだね」

?「・・・」ビクッ
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:18:40 ID:A5KaJ/ds

少年「一瞬だけど・・・すごかったなぁ」

?「ぴ?」オドオド

少年「大きく翼を開いてるところ、はじめてみたから。きっと大天使様だって、こんなに立派な翼を持ってないんじゃないかって思ったよ」

?「……」

少年「ねえ。もう一回だけ、翼を広げたところを見せてくれない?」

?「ぴっ!」ビク

少年「もしかして飛ぶことそのものじゃなくて、翼を広げるのが怖いのかなぁ…」

?「……」ショボン

少年「嫌だったら、いいんだけど。すごく綺麗だったから、もう一度見てみたいな?」


僕がそういうと、彼女は座り込んだまま、すこし俯いた
目線だけをあげて、僕の様子をみている
にっこりとなるべく穏やかに笑って、無理はしなくていい意思を伝える
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:20:29 ID:A5KaJ/ds

彼女はぺったりと地面に座り、手を前について軽く背を丸める
目線は下を向いたまま、翼だけをゆっくりと動かして開いていく

その様子はどこか官能的にも見えた
それは僕がインキュバスだからなのだろうかもしれないし
すこし怯えた様子の彼女が、まるで恥ずかしげにしているように見えるからかもしれない

ばさり、と翼を大きく広げきったとき、僕は感嘆のあまり言葉を失った
官能的だなんて思ったことを恥じてしまうほどに、神々しい翼だった


?「ぴ、ぴゅぃぃ」オズオズ

少年「! あ、えっと…ごめん、なんかあんまりにも凄くって…」

?「……」
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:21:50 ID:A5KaJ/ds

少年「なんか、言葉が…ああ、本当に綺麗。すごい。美しい。立派だね」

?「……//」

少年「あは、なんて言えばいいかわからないよ。これじゃあまるで馬鹿になっちゃったみたいだね」

?「ぴゃぁ…♪」バサ…

少年「あ、翼が…」


ビュオオオオオオオオオオオオオオ!!!!

少年「ッ!!」

?「ぴゃぁぁっ!!」
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:24:21 ID:A5KaJ/ds

突然、森の中だとは思えないほどの強風が吹いた

緩やかに揺れていた木々が、突風に煽られて小枝を撒き散らす
ザザザザ、という荒々しい葉の音が耳を打ちつけて
一瞬にして、見えていた美しい宗教画をめちゃくちゃに破り去っていく


少年「・・・っ、大丈夫!?」ダダッ

?「ぴ、ぴぃ・・・」ガクガク

少年「翼を広げていたから、小枝が・・・! まって、いますぐに取るからそのまま動かないで!」

?「……ぴゃぁ、ぴゃぁぁ…」ブルブル

少年「ごめん! 僕が翼を見たいなんていったから、こんなに羽を散らしてしまって…!」

?「……ぴゅぅ、ぴゅぅぅ」ペロ
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:30:40 ID:A5KaJ/ds

彼女の翼に手を伸ばした僕の腕を、彼女が小さな舌で舐めてくれる
きっと、大丈夫だよといってくれてるのだろうと思った
だけど彼女の大きな翼に、無数の楔のように打ち込まれた小枝を見ると…


少年「……気遣わないで。僕が悪かったよ…本当にごめんね」

?「……」ションボリ

少年「……森の中にあんなに強い風が吹いたのははじめてなんだ。あんな風が吹くのを知っていたら、翼を広げさせるなんてしなかった…許してほしい」

?「……」


それから僕は、黙って彼女の翼に縫いつけられた小枝を丁寧に取り除いた

柔らかな翼が傷を負うことがなかったのは幸いだったけれど
あたりに散らばった白い羽をみて僕はひどく後悔をした
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/23(水) 21:33:46 ID:A5KaJ/ds

それから僕たちは、二言三言の言葉だけを交わして黙って森を出た
来た時と同じように彼女の手を引いて歩いたけど、僕は振り返ることが出来なかった

街道にもどってきて、別れ際になってようやく少しの会話をした


少年「今日は、本当にごめんね」

?「ぴぃっ」フルフル

少年「今度は、もうちょっと安全で素敵な場所を考えておくよ」

?「…ぴぃ… ぴゅぃ…?」

少年「気にしないで。僕がそうしたいんだ。また、付き合ってくれるかな…?」

?「ぴぃ♪」ペコリ

少年「よかった」ニコ

?「ぴぃぃ?」

少年「うん… どうしても君に、美しい景色を見せてあげたい」

?「……?」


―――――――――――――――――
37: 生存報告のために4レスだけ投下します 2014/07/28(月) 00:51:08 ID:6GKgjk8c

<街道沿い>

少年「……猫みたいな鳥さん、今日はいないのか」

翌日、彼女はいつもの定位置に現れなかった
別に約束をしているわけじゃないのだから取り立てておかしいことではない
今までだって、ここにくれば必ず彼女がいたわけでもないし
どちらかといえば彼女がいない日のほうが多かったような気もする


少年「……たった二日、一緒にすごしただけなのに。何を期待してるんだろう」


彼女も僕に会うために、約束もしていないこの『待ち合わせ場所』に来てくれる気がしていた
当たり前のように、ここにくれば彼女に会えると思って家を出てきた
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/28(月) 00:51:52 ID:6GKgjk8c

昨日のことをどうやって謝ろうか
今日はどこに行って何を話そうか
どんな景色が見たいか聞いてみるのもいいかもしれない
でも、彼女は言葉がしゃべれないから…何かいいアイデアはないかな

そんな当たり前のようにたてられた計画が、僕の胸に沈んでしまった


少年「……ここ以外に、君に会えそうな場所を僕は知らないのに」
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/28(月) 00:52:30 ID:6GKgjk8c

僕はその日、彼女の定位置に座って街道を眺めていた

何もなかった
普通の空が見えて、普通の道が見えて、ときどき行き交う馬車が通る
僕に見えたのは、そういうありきたりで平凡なだけの景色だった

彼女がいつも見ているくらいなのだから、それらのどこかに素敵なものが隠れているのかもしれない
そう思うと急に世界が楽しげなものに見えてきて、僕は眼を皿のようにして眺め続けた

翌日も、その翌日も
僕は答える人の現れない間違い探しを、独りでつづけた


―――――――――――――――
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/28(月) 00:53:05 ID:6GKgjk8c

<街道沿い>

少年「………今日で、何日目だったかな。 2日? 10日?」


日が昇り月が昇り、日が沈み月が沈む

彼女が現れるのを待つ間、世界はあっという間に時間を進めてしまう
すぐに夜になってしまうものだから、これじゃあ彼女は出てこれない

彼女に会えるかもしれない翌朝を待ちわびる。世界は時間をとめてしまう
いつまでまっても朝にならない。これじゃあ彼女に会いにいけない

時間という概念の中で迷子になってしまう
朝も夜も見失う。会いたい人に会えない。心細くて不安で、寂しくて待ち遠しい


少年「……僕は君に、美しい景色を見せてあげたいだけ……なのかな…?」

―――――――――――――――――――
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 11:55:50 ID:tQaaMGdk

<少年の住む 魔物の街>

ザワザワ…

少年「……? なんだか、今日はずいぶん大人たちが騒がしいな」


「…おい、聞いたか?」

「…ああ。可哀相になぁ、オレは実は見てきたよ。あれじゃあもう飛べないだろうな…」


少年「…あの、おじさんたち。ちょっといい?」

町人1「え? ああ、インキュバスの坊主か。どうした?」

少年「さっき話してたの、なんの話? 今日は随分、街も騒がしいみたいだし」

町人1「ああ…、ほら、2日前に 治療所に運ばれてきたハーピーの話さ」

少年「ハーピー?」
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 11:56:31 ID:tQaaMGdk

町人2「ああ。翼を痛めて、どうもそこが化膿したらしくてな。かなりただれてて…高熱状態なんだ」

少年「…翼を傷めた、ハーピー…」

町人1「いや、まあどうも亜種みたいでな。ハーピーだろうって推測なんだが」

少年「そ、それで?」

町人1「言語を解さないものだから、治療がはかどらないらしいぜ。警戒してるのか、翼を怪我してるってのに開かないんだとよ」

町人2「かわいい娘っこなんだけどなぁ、まあ亜種は能力異常とかもいろいろあるし…院長もあんま無茶できねぇんだろ。しかたねぇ話さ」

少年「能力異常…翼を開かない…鳥の娘…っ!」

町人1「どうした? 坊主」

少年「おじさんありがとう! その子、僕の友達かもしれない! 行ってくるっ!」ダッ

町人1「なんだって…?! おい! 坊主まて、それなら……!」

少年「…………え?」


―――――――――――――――――――――――
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 11:57:02 ID:tQaaMGdk

<魔物の街 治療所>


バタンッ、ガタッ!

少年「院長先生! いらっしゃいますか!」

看護師「あら、インキュバスの…そんなに慌てて、どうしたの?」

少年「ハーピーの女の子が来てるって! 友達かもしれないんだ!」

看護師「え…それ、本当?」

少年「白い大きな、薄い青みのかかった翼に、黄色い三又の足、それから…声が、ぴゃぁって。猫みたいな鳴き方をする鳥の女の子じゃないよね!?」

看護師「!」

少年「…っ、そうなんだね!?」
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 11:57:34 ID:tQaaMGdk

看護師「……重症なの。翼の根元、骨の部分に近い所が既に壊死しているわ。ハーピーにとっては致命的よ…命を救うためには、翼を切断するしかないわ」

少年「そんな…! そんなの!」

看護師「待って、すぐに院長を呼んでくるわ。あなた、友達って言ってたけど…彼女とコミュニケーションがとれるの!?」

少年「言葉はわからないけど… でも、一緒に過ごした時間はあるよ!」

看護師「手術をするためには、本人か家族の了承が必要なの。命の危険があるから緊急手術もできるんだけど…」

少年「出来るけど… 何…?」

看護師「…亜種はね、能力値が異常な場合が多いの。無理に手術をしてしまうと、能力の暴走が想定されるけど、その範囲がわからないわ。だから……このままだと、治療すら継続できないの…」
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 11:59:22 ID:tQaaMGdk

少年「治療も…って、だって、それじゃぁ…」

看護師「ハーピーは、ただでさえ力の強い魔物よ。 亜種なんて…下手な手出しは出来ないわ」

少年「…彼女に会わせて。怪我の理由も…もしかしたら、僕のせいかもしれないんだ…!」グッ

看護師「っ。……1階の、角部屋。院長室の向かいよ、直接 部屋で待ってて頂戴」

少年「! ありがと!」

 ダダダッ

看護師「……警備兵を呼ばなきゃ、いけないわね…」


――――――――――――――――――――――
46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 11:59:56 ID:tQaaMGdk

<緊急看護室>


 ガチャッ

少年「……失礼しますっ…!」

?「………」

少年「猫みたいな、鳥さん…! やっぱり、君だったんだね…っ」

?「………」

少年「僕だよ、猫みたいな鳥さん! わかる?!」

?「……!」クルッ

少年「よかった、ちゃんと意識は…」
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:00:28 ID:tQaaMGdk

?「ぴゃぁっ…♪ ぴゃぁ、ぴゃぁっ」モゾモゾモゾ

少年「え、ちょ、思ったより元気…」

?「ぴゃぁ…っ♪」モゾッ

少年「ああ、でも本当によかった…」ホッ


やっぱり、彼女だった
僕の顔を見て、いつもどおり嬉しそうに顔で、猫のように鳴いてくれた
嫌な予感は的中だったけれど、どこかで僕は彼女にもう一度会えたことに…
彼女がまだ、僕のことを歓迎してくれる事にも安堵していたんだ

でも…


?「ぴぃー………♪ ……ぴぃ」フラッ

少年「あぶな…!」ガシッ

?「ぴゃぁ……♪」テヘヘ

少年「熱い…すごい熱じゃないか。無理しないでいいから…動かないで?」

?「ぴゃぁー…♪」スリスリ
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:01:05 ID:tQaaMGdk

少年「…翼を、傷めたって。化膿して熱を持ってるって聞いたよ…」

?「……」ションボリ

少年「あの時…森で、風が吹いた時に刺さった小枝のせい…?」

?「ぴゃぁ…」フルフル

少年「…違うの?」

?「……ぴゃぁ…」コクン

少年「じゃぁ、いったいどうして翼を……」

?「……」スッ…

彼女が、僅かに震える細い腕で窓の外を指差す
小さく折れ曲がった弱々しい指先は「空」を示しているのだと気がついた


少年「……飛ぼうと、したんだね?」

?「……ぴゃぅ」テヘヘ…
49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:01:36 ID:tQaaMGdk

少年「練習なら、付き合うって言ったのに…どうしてそんな、無茶を…」

?「ぴゃぁ…」

少年「…翼を、見せてもらってもいい…?」

?「……」コクン

少年「痛かったら、合図して」


僕は彼女の翼に触れようとした
触る前から、彼女はビクリと身体を震わせる

それもそうだろう、と僕はすぐに納得した
触るのも抵抗があるほどに、翼は明らかに折れていたからだ

畳んだ状態だと、その柔らかな羽毛に阻まれて気がつかなかった
内側には血がびったりと糊のようにこびりついて、羽を凝結させている

根元に近い部分が、本来のカーブとは違う曲線を描いている
その大きな翼がもげて取れないのは、豊かな羽が血で固まって支えになっているからだ
50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:02:16 ID:tQaaMGdk

少年「……っ!」

?「……」


傷口のあたりを、そっと…触れないようにして観察する
凝結した血の中に、白っぽく、時に薄黄色く、どろりと濁るものが見える
化膿している。それも、ひどく

2日前に運ばれたと聞いたけれど、おそらく怪我はずいぶん前なのだろう
怪我をして、安静にして
傷が落ち着いた頃に、また翼の動きによって再出血を繰り返した…そんな傷だ


少年「…どうして、こんなになるまで…」

?「……」

少年「……君の境遇も、住んでいるところも、名前だって知らない」

少年「だから、もしかしたら何か事情があったのかもしれない」

少年「それでも…君がこんなになる前に、駆けつけてあげたかった。そばにいてあげたかったよ…」

?「……ぴぃ」スリ…
51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:03:03 ID:tQaaMGdk

少年「聞いてもいい? …大人の人に聞いたんだ。君はおそらく、亜種のハーピーだって…」

?「…」コクン

少年「そっか…。 翼を開かないのは…君が空を飛べないのは、能力値の異常のせいなの…?」

ハーピー「……っ」ビク

少年「……ごめん。何も知らずに、空を飛ぶ練習に付き合うなんて簡単に言って…」

ハーピー「ぴゃぁ、ぴゃぁぁっ」フルフルフルフル

少年「でも…」


その時、慌しい足音が聞こえてきた
ほぼ同時に、乱暴に扉が開かれる

僕は思わず彼女を抱きしめて、警戒してしまった
でもどうやら、それが余計な誤解を招いたようだった
52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:03:46 ID:tQaaMGdk

警備兵「…っ、貴様、動くな! その娘を解放するんだ!!」

少年「!?」

警備兵「亜種とはいえ、ハーピーは女神の系統だ! その彼女に暴行を加え、重症を負わせたそうだな!?」

少年「なっ!? 違う!」

ハーピー「ぴゃぁぁっ!」フルフル!

警備兵「彼女が喋れないと思って適当を言うな! 首を振って否定しているじゃないか!」

ハーピー「!?」

少年「そっちこそ・・・! 彼女の必死の意思を捻じ曲げて、都合のいいように解釈するな!!」

警備兵「ともかく彼女を離せ! 彼女たちの存在は天候を左右する! 貴様のような淫らなインキュバスごときが触れていいものじゃない!」

少年「っ!」
53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:04:18 ID:tQaaMGdk

院長「・・・まあまあ。落ち着いてくだされ、警備兵殿。少年君も」


警備兵「院長さん! しかし…!」

院長「いいじゃないですか。インキュバスとハーピー? お似合いですよ」ハハハ

警備兵「…ハーピーの一族を愚弄するつもりですか」

院長「警備兵殿は、新体制の人間なのですねぇ。私共のような老魔物にはまったく理解できませんな」

警備兵「……旧体制の思考なのですか…! 法によって、彼女達の人権は守られるようになったのです! 差別的な考えは今すぐに辞めるべきです!」

少年「……?」

ハーピー「………」ブルブル…
54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:04:54 ID:tQaaMGdk

院長「ああ。少年のような幼い子は知らないんだねぇ、ハーピーというものを」

少年「…ハーピーが、なんだというんだ」

院長「ハーピー。ハルピュイア。女神だと? こんなにも不潔で、汚らわしい生物が?」

警備兵「! 院長さん、そのような発言は許されないものです!」

院長「はは、ハーピーなんて。このまま死んでしまえばいいのに。治療だなんて、本当はしたくないんだよ。ましてやリスクを負ってまで…ばかばかしいねえ」

少年「…なっ」

ハーピー「!」ビクッ

院長「そいつらがどんな生き物か、知っているのか? 最近の連中は、ハーピーの能力を恐れてかしらんが神格化などしやがって…ああ、本当に気に入らないね」

少年「どういう、ことですか…!」

院長「そいつらの蛮行の数々。魔物の世の開拓に、どれだけの妨げになったか…」

院長「信じられないようなことをするんだぞ? そいつら、畑を作ればどこからか飛んできて荒らし食い、家畜を育てればむやみに殺して貪り食うじゃないか」

院長「家々に忍び入っては、残飯すらも撒き散らして食っていきやがるしねぇ」
55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:05:51 ID:tQaaMGdk

警備兵「……彼女たちは、本能的に食に関して貪欲なのです! 現在では充分な食糧供給の援助と教育によってそのような愚行は行われておりません!!」

院長「愚行!? 愚行で済むのか、あの惨状を愚行で済ますのか!?」

少年「……ほかに、何をするというのです」

院長「そいつらはな! 荒らしまくった上に、糞尿すら撒き散らしていきやがるんだ! 不潔で下品で、どうしようもない生物だ!」

院長「ましてや風を操る能力を持つからな! やり返そうにも、怒らせでもすればすぐに大嵐や竜巻を呼びやがる!! 迷惑極まりない最低の生き物だ!」

少年「な・・・!」

警備兵「っ」

ハーピー「……ぴゃぅっ!!」パサ…


彼女は、堪え切れなくなったのだろうか
痛んだ翼を僅かに開いて、窓のほうにフラフラと駆け寄る

逃げようとしているのだと、すぐに気がついた
56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:06:23 ID:tQaaMGdk

弱々しくパタつく彼女の翼は、おそらくもう感覚を失っているのだろう

それでも、この場から立ち去りたいと
それでも、誰かに心を傷つけられるのはごめんなのだと…

恐怖におびえ、悲しみにとらわれた瞳は、その全てを僕に悟らせた
僕は彼女を支え、一段と細くなったような身体を強く抱き、粗末な羽を広げた


少年「院長さん。 あなたに何があったのか、僕はわからないけれど…でも、彼女は何もしていないはずだ。 彼女の祖先の罪まで、彼女に擦り付けるのはやめてください」

院長「…はっ、インキュバス風情が、偉そうに。 不潔で下品な生き物同士、傷を舐めあうつもりか」ハハハ

警備兵「……今は、ハーピーの安全が第一です。 が、院長さん。その後は…あなたもただでは済みませんよ…!」


フン、と鼻を鳴らし つまらなそうに部屋を出て行く院長を見送った
ようやく敵がいなくなったと、僕はすこしだけ安堵する

僕は、どうやら味方の立場にいるらしい警備兵さんに向き合い
なるべく冷静を努めて、言葉を投げかけた
57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:07:15 ID:tQaaMGdk

少年「警備兵さん… 彼女をどうするつもりですか」

警備兵「…すまなかった、どうやら君が彼女に危害を加えるつもりはないと理解した。まさか、情報提供者こそが問題人物だったとは…」

少年「そんなことはどうでもいいです… 彼女をどうするのですか…?」

警備兵「亜種のハーピーは能力値が高い。 そして存在そのものが天候に異常干渉する可能性があるんだ。死なせるわけには行かない、速やかに連れて行く」

少年「死なせるわけには行かないって… だって、治療もできないはずじゃぁ…」

警備兵「はっ…あの院長、治療もできないなんて言ってたのか…? …本来なら、ハーピーは保護された場合、速やかに届け出られてしかるべき処置を施されるはずなのになっ」

少年「な」

警備兵「最初から、生殺しにするつもりだったんだろうと納得がいったよ!! やはり彼女は国で保護する!!」

少年「保護… 彼女を助けてくれるんですね…?」

警備兵「もちろんだ! 問題の翼を除去し、能力の暴走を押さえるために投薬管理し
然るべき場所で然るべき管理の元に置かれるだろう!
殺してしまうことなどありえないから、彼女が暴走する前に早く引き渡してくれ!」
58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:07:45 ID:tQaaMGdk

少年「……問題の翼? 管理の元…? 暴走する前に…?」

警備兵「…っ、一歩間違えれば危険な存在であるのに間違いはないんだ…! 納得してくれ、さあ 早く彼女を…!」


『味方』とはなんだろう
善にその身を捧げているかのような彼も
悪に与して染まるような院長も

『彼女』にとっては、敵でしかないのだと気がついた


彼女が、いつもひとりで街を見ていたのは
彼女が、怪我を負っていても治療を受けに来なかったのは

彼女にとって、憧れの象徴でもありながら
全てが信頼できない、歪な世界だったからだ
59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:08:38 ID:tQaaMGdk

少年「…彼女を渡すことは出来ません」

警備兵「なんだと・・・! そのままでは死んでしまうぞ!」

少年「僕が、殺させない。でも、その身体以上に、彼女自身を殺させるわけには行かないんだ!」

 バサ・・・!

警備兵「飛んで逃げるつもりか! させない!!!」ダッ

少年「……っ」

ハーピー「ぴゃぁ!!」バサッ


警備兵の手が、僕の服を掴むその瞬間
痛々しい赤に染まる翼が 大きく僕を包むように広げられた
60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/07/31(木) 12:09:45 ID:tQaaMGdk

ガタガタガタ、パキン、パキパキパキ…
ガチャーーン!!

ビュォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!


少年「…っく」

警備兵「うわぁぁぁぁぁ!?」


格子にはめられたガラスが激しく波打ったかと思うと、途端に大きな音で割れた
割れたガラスが落ちる間もなく、突風が部屋になだれこむ
ガラスが、警備兵に向かって突き刺さる勢いで飛んでいく


大丈夫
彼は重厚な装備を身にまとっているから、きっと怪我をしないよ
だから、そんなに
怯えた顔で 自分を恐れないで


バサッ…

少年「…小さな翼で、嫌いだったけれど」

少年「今、君を連れ出せるのなら、この翼を誇りに思うよ」

―――――――――――――――――――――
62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/01(金) 09:31:55 ID:0WoMvBOs

幸せになって欲しい
65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:13:35 ID:gDff9vYs

<空>

 バサッ、バサッ、バサッ…

ハーピー「…ぴゃぁ…」

少年「……ごめん、風を受けてつらいかな。大丈夫?」

ハーピー「ぴゃぅ…」コクコク

少年「うん。じゃあ、このまま、ここから離れるよ」

ハーピー「…ぴゃぅ…?」

少年「海を… 人魚の孤島を目指そう」

ハーピー「!」

少年「……君の反応…あのおじさんが言ってたことは、本当なんだ…」

ハーピー「…ぴぃ、ぴゃぅ」
66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:14:33 ID:gDff9vYs

~~<回想>~~

町民1「坊主。あのハーピー、もう駄目かもわからねえ。覚悟していくこった」

少年「な…。 なんでそんなことを言うんですか!? 治療院に運ばれてるんですよね!?」

町民2「…だからこそ、だけどな。余計なことはいわねぇ。ハーピーはちょっと面倒なんだ」

少年「……面倒?」

町民2「行けば、きっとわかるさ。いや、わからねぇ方がいいのかもしれんが…」

町民1「それより、あのハーピーのところに行くなら…いいことを教えてやる。坊主、耳を貸せ」

少年「っ、彼女が大変なことになってるかも知れないって時に、何を…… 時間が!」

町民1「あの娘っこの為になるかもしれねえって話だ。 ……さすがにあんな若いハーピーに死なれたら、俺だって寝覚めが悪そうだからよ」

少年「彼女の為になる話…?」

町民1「ああ。ハーピーを……」



町民1「殺す話だ」


~~~~
67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:15:06 ID:gDff9vYs

ハーピー「……ぴゅいー…」

少年「ごめんね。勝手に決めて…」

ハーピー「……」フルフル

少年「よかった…それくらいしか、もう 君といられる方法は無さそうだから…」

少年「…熱、また上がってきてるみたいだ。寒い?」

ハーピー「……」フルフル

少年「ごめんね。なるべく急ぐから…」

ハーピー「…ぴゃぅ♪」スリ…

少年「…………っ」


僕たちは海の上を飛んだ
南に40kmも飛べばいいだろうか
68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:15:50 ID:gDff9vYs

翼が痛む
小刻みに動かし続けなければならないこの小さな翼は
ただでさえ、長距離にはむいていないのはわかっているんだ

休める場所があるわけではないけれど、なるべく低空を飛行するようにしていた
少しでも、滞空時間を短くするために
少しでも、確実に彼女を…


ハーピー「ぴゃぅ!!」

少年「!」ハッ

船が見える
気がつくのが遅れた

どうやら普通の商船のようにみえる…けど
今は余計なものに関わりたくも、干渉されたくもない
僕は翼を大きく振り、急上昇した


―――――――――――――――――――
69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:16:26 ID:gDff9vYs

<船の上>

船員1「おい。あれ…なんだ?」

船員2「魔物…? なんか抱えてるな」

船員3「…ハーピーじゃねぇか?」

船員1「ハーピーだと…? まて、この進行方向…」

船員3「ああ。まあ、人魚のとこに連れてくんだろ。ほっとけよ」

船員1「放っておけるかよ! くっそ、余計なことしやがって…」

船員2「おいおい、熱くなるなって…そうだと決まったわけでもねえだろうが」

船員1「そうだったらどうすんだ! くっそ、海を荒らされるくらいなら…」

船員3「……おいおい。砲弾なんか持ち出したら、船長と砲撃手にシボられるくらいじゃすまねぇぞ」

船員1「船ごと沈められるよりマシだろ! 構うもんか、撃ち落してやる!」

船員2「マジかよ… おい、待てって…」

船員1「下がってろ! ここを…こう…!」ググ、
70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:17:03 ID:gDff9vYs

船員2「おいおい…本気だぜ、こいつ。どうするよ・・・」

船員3「ばーか。どうせこいつの腕なんかで、あんな飛んでる的に当たりゃしねぇよ」

船員2「ああ、それもそうだな。馬鹿やって気が済むならやらせとくか」

船員3「飛んでるやつらはちょっと驚かせるけどな」ハハハ

船員2「俺らは知らないぜ。たまにはたっぷり絞られて、その短気を治せよー」ハハハ

船員1「チッ… おまえら、いつか手伝わなかったことを後悔するぜ」


船員1「だがまあ、今は俺が一人ででも当ててやるっ!」バチンッ

船員1「いっけえええええええ!」ボッ ボボボ…

バシュッ!!

 ドゥオオオオオオオオオオオン!!!

―――――――――――――――――――――-
71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:17:45 ID:gDff9vYs

<上空>

 ドゥオオオーーーン…

少年「! 撃ってきた!? なんで!?」

ハーピー「ぴゃぁっ!!」

少年「まあでも、これだけの距離があれば さすがに当たりはしな…」

ハーピー「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」


べりべり…っ、ぼきん、
肌が粟立つような不快音。間髪いれずに続く鈍い音が、僕の背筋を凍らせた
その大きな、赤い斑に染められた翼が歪んだカーブを描いて…はばたいた


 バサアッ!!!

少年「!」


あからさまに向けられた殺気と、理不尽に振るわれる暴力
彼女はもう限界だったのだろうか

黙って飛んでいたって、きっと当たらなかったはずのその攻撃にすら
全力で、死に物狂いで抵抗しようとしてしまうほどに…
72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:18:31 ID:gDff9vYs

 ブワッ!
 ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


少年「――――――っ!!!」

ハーピー「ぴゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁっ!!!!」バサァッ!


風が吹き荒れた
急激な風圧に、身体をひきずりこまれそうになるのを耐える


少年「しま…っ! 翼が…!」


嵐と呼ぶにしても、あまりにも豪快すぎる
恐ろしい勢いで集まった大気が、既に竜巻を作り出していた

眼下では 海が巻き上げられるようにして大きなうねりを立ち上らせ、渦まいている
その中心に、先ほどの船が突き刺さるようにして…折れた
73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:19:18 ID:gDff9vYs

少年「……っ、な、なんて力・・・!」

ハーピー「ぴゃぁぁぁぁっ! ぴゃぁぁあっ!!!」バサッ!バサッ!!

少年「落ち着いて! 大丈夫だから! もう、君に攻撃するやつなんていないから!」

ハーピー「ぴゃぁぁっ! ぴゃぁっ!! ぴゃあああああああ!!!!」バサァッ!!

少年「君の翼が取れてしまう!! お願いだから落ち着いて! くそ、どうすれば・・・!」


見回したところで、縋るものなどありはしない
そこにあるのは異様な光景だけだった

周囲にある 風や、雲・・・大気の全てと海水が
張り詰めた糸で無理に引き寄せられたように、一箇所に積み上げられている

雲ひとつない快晴のど真ん中で、立ち上る大風の塔
吸い上げられ飛沫を撒き散らす海水が、その塔を支えているようだった

暴力的で絶対的な、神々の創造物。美しく残酷な、物見の塔

もし、こんなものを永続しておけるのだとしたら
きっと彼女は、ラプンチェルのように その頂の窓から外を眺めて閉じこもるのだろう

僕は、ただひたすらに彼女を抱きしめた
74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:20:00 ID:gDff9vYs

少年「大丈夫だから…僕が、君を守るから…。 だから、落ち着いて…」フラッ

ハーピー「!」ガクンッ

少年「あ…やっぱ駄目かな。もう飛べないかも…」

ハーピー「ぴゃ… ぴゃぁぁっ!?」

少年「えへへ…ごめんね。 …僕の羽、薄いから… ついに、裂けちゃったみたい」グラッ

ハーピー「っ!? ぴゃぁぁ!!」

少年「やっぱり、治療院で刺さったガラスをそのままにして飛び続けるのは、無理だったのかなぁ…」ギュッ

ハーピー「!」
75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:20:30 ID:gDff9vYs

少年「ごめんね。人魚のところに連れて行けるとおもったんだけど…」

ハーピー「ぴゃぁ!」

少年「無理、だったみたいだ」

 ヒューーン・・・



落ちる。上下が反転する。
空の青。海の青。白い翼。赤い血痕。千切れて空中に取り残された、僕の、薄い羽



少年「僕にも…君くらい、立派な翼があったら…よかったなぁ」ニコ…


少年「このまま…、素晴らしい景色を君に見せられないままなんて…やっぱり悔しいよ」


―――――――――――――――――――――
76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:21:00 ID:gDff9vYs

僕たちは そのまま共に海に落ちた
落ちたと同時に、渦に飲み込まれて海の奥深くにまで流し込まれる

苦しくて、切なくて
胸に、無理やり押し込まれる海水には、逆らうことも出来なくて
それでも腕に抱いた彼女だけは離すことが出来なくて


なんだ
これじゃあ、今までと一緒じゃないか
死ぬってことは、恋に落ちることと変わらないんだね


遠くなる意識の中で 彼女がするりと僕の腕を抜け出したのだけがわかった
柔らかな腕の感触、滑らかな肌
彼女の、冷たい掌が 僕の顔を覆って… キスを、した


―――――――――――――――――――――-
77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:21:47 ID:gDff9vYs

<深海>


少年『……! ぷはっ!?』

ハーピー?『………』ニッコリ

少年『あ…』


海中。そこは間違いなく、魚達の王国だ
その深い場所で、おかしなことに僕は目を覚ました

目の前には、大きな尾ひれ
淡く青いうろこが、きらきらと煌いている
光の加減や尾の振り方で、ほんのりと桃色に染まっているようにも見える

豊かで、肉厚な尾をたどると…そこにいつもの、人懐っこい笑顔が見えた


少年『君は……』

人魚『ハーピーなの』ニッコリ
78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:22:55 ID:gDff9vYs

少年『……あはは。ちゃんと人魚になれたんだね。僕のこともわかる?』

人魚『もちろんなの!』

人魚『ハーピーは、空を飛ぶの。空を飛べなくなったとき、海に落ちるの』

人魚『翼を失って、海に堕ちたハーピーは、マーメイドになるの』

少年『君の翼、やっぱり…折れちゃったんだね』

人魚 コクン

人魚『少年の、おかげ。一人じゃ、怖くて変化なんてできなかったの』

人魚『ハーピーじゃないから、翼はなくなったし、風も起こせないの! でも人魚だから、言葉と歌を使えるの!』

少年『そっか…ハーピーを殺して人魚にする、なんて聞いていたからすこし不安だったんだよ』

人魚『物騒なの』

少年『うん。だから人魚に会って、話を聞いてみるつもりだった』

人魚『えへへ』
79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:23:45 ID:gDff9vYs

少年『…ハーピーを殺すっていうのは、ハーピーとしての能力を殺すって意味なんだね』

人魚『あんな能力、なくなってよかったの』

少年『…あの美しい翼は、君のその美しい尾ひれに変化したのか…』

人魚『あ…。やっぱり…あの翼がないと いや?』

少年『ううん。 …どうなっても 君は綺麗だ』

人魚『……! 少年! 見て!』


彼女は僕を海中に取り残し、優雅に泳ぎ回る
尾ひれを振るうたびに、うろこと水泡がさざめき、軌跡を描く

遥か上空から揺れながら突き刺さる光の柱
何千という細かな光が、彼女のくねる尾ひれに当たっては反射する
80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:24:15 ID:gDff9vYs

人魚『跳べるの。 おもいっきり、跳べるの!』

力強く、尾ひれを振る
すると彼女の身体は高いところへ一気に跳びあがる

ぐるりと大きな螺旋を描いて
好きなように、思うように。 どこまでも、彼女の自由に
彼女は ようやく跳びまわることができるようになったんだ


人魚『見て! 世界って、こんなに広かったの! 生きるって、こんなに美しいの!』

少年『うん。 君は美しい』

人魚『……もう。 ちゃんと聞いてるの?』

少年『ごめん。見惚れてる』

人魚『……人魚のキスってね。海中でも息が出来るの』

少年『そっか。じゃあ僕、本当に生きてるんだ。 実はここは天国なのかと思ってた』

人魚『……死なせたり、しないの。 大事なの。 大好きなの』

少年『え……』
81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:24:50 ID:gDff9vYs

人魚『むこうの世界に、戻りたい?』

少年『……翼をなくしたインキュバスは、マーマンになったりしないかなーって思ってる』

人魚『♪』

人魚『ここで、一緒に生きよう? 一緒にいて欲しいの』

少年『人魚の島に渡れば、きっと君には仲間がいるよ? 』

人魚『少年が、いいの』

少年『……僕は。もっともっと美しい景色を君に見せていたい』

人魚『うん! 少年の見せてくれる景色が、大好きなの! だから…』

少年『うん』


『いつまでも 一緒にいよう』


――――――――――――――――――――――
82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:25:25 ID:gDff9vYs

<100年後>

青年『すごいなぁ。もう、100年か。永い時間を人魚は生きるって言うけど…』

人魚『人魚は不老不死なの。それに、人魚のキスは不老の効果があるの。少年も、その恩恵の一端を預かってるの』

青年『あはは…さすがに身体も一定までは成長したし、実際はおじいちゃんなのに…』


青年『最期まで、少年っていわれたままだったなあ』クスクス


人魚『…少年は、少年なの。 ずっとずっと一緒にいるの』

青年『さすがに、人魚の寿命にはとどかなかったのは残念だよ』

人魚『…ねえ 少年。 見て』
83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:25:58 ID:gDff9vYs

海底の美しい景色を共に見る
100年前と ほとんど変わらない

この海には、この海域には誰も来ない
誰も寄せつけないようにして ひっそりと二人で生きてきた

誰にも汚されず
誰にも侵されず
僕たちは 僕たちの自由にいきられる楽園で生きてきた


人魚『……少年。 最期くらい、陸に戻りたい?』

青年『ううん。 そんなこと思ったこともない』

人魚『…私と、この海で生きたことを 後悔したりしてないの?』

青年『後悔してないよ。みて、この美しい景色』
84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:26:49 ID:gDff9vYs

青年『空よりも、森よりも。どこまでも深くて透明で、色とりどりの魚たちが躍る景色』

青年『何より、君が 自由に輝ける場所だから』ニコ

人魚『…うん! ありがとう! 大好きなの、少年!』

青年『それより…気がかりがあるとすれば。どうなのかな?』

人魚『?』 

青年『僕は、君を連れてこれたのかな』

人魚『どういう意味なの?』


青年『君は僕の見せたこの景色を、悪夢の産物だと思う?』

人魚 フルフル

青年『大砲に撃たれて、空から墜落して、竜巻と大潮に巻き込まれて、海底深くに流し込まれても?』

青年『あはは、きっと誰かに言わせれば、これは悪夢。甘い悪夢だよ』クスクス
85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:27:27 ID:gDff9vYs

人魚『…どうしてそんなこというの? 私には、悪夢じゃないの。すごく綺麗な夢を見てるみたいなの』

青年『うん…ありがとう』

青年『よかった。君を選んでよかった。君がいてくれて、本当によかった』フラ…

人魚『……もう、だめなの? 岩場に、横になる?』

青年『うん』


彼女は、僕を大きな岩に横たえてくれた
波に揺られる。最期の瞬間まで、美しいものをこの目に焼き付けたい


青年『最期まで、君と美しい景色を見られる…。なんて、幸せだろう』

人魚『どうして、そんなにまでしてくれたの?』

青年『美しい景色を君に見せたくて…僕にも幸せに出来るって、僕がただの悪夢でしかないなんて、思いたくなくて……あ、…もう…なんだか、眠たくなってきた』

人魚『悪夢…? まって。もうすこしだけ。 がんばってほしいの』
86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:28:01 ID:gDff9vYs

青年『…インキュバスってね。 横たわるって意味なんだ。…だから、僕はこうやって…横たわっているのが、お似合いなんだ…』

人魚『…そんなこと、いわないの』

青年『インキュバスは、悪夢なんて呼ばれることも…あるんだよ』

人魚『少年が、悪夢なの?』

青年『種族として、女の子をすごく大事にしてるけど…』

青年『僕に愛された子は、犠牲者なんていわれるんだ。…嫌われることのほうが、すごく多いんだ』

人魚『……そんなの、おかしいの。 ・・・少年は、嫌われるような人じゃないの』
青年『君も、そうだよ。本当は綺麗で、みんなに好かれるような美しい生き物だ』

人魚『……うん。あなたのおかげで、私はかわれたから』

青年『僕が死んだら、仲間のところに行くといいよ…。一人は、寂しいから』

人魚『………』
87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:29:01 ID:gDff9vYs

青年『ごめんね。 君を、あの世界で、助けてあげられなかった』

人魚『いいの。私は、この世界のほうがずっと好きなの』

人魚『少年と一緒にいられるこの世界で、自由に言葉をだせるこの世界で』

人魚『私はやっと とべるようになったの』

青年『君がそういってくれるから、僕は悪夢じゃなくなったよ。あはは。僕たちは似たもの同士だね』

人魚『そんなの…もっと早く言えばよかったの。いくらでも、私が違うって教えてあげられたの』

人魚『美しい景色なんて、ずっと前から、いっぱいいっぱい見せてもらってたの!』

青年『ああ…そう、か。こんなの…言い訳なのかもしれない』

人魚『いいわけ・・・?』
88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:29:40 ID:gDff9vYs

青年『うん。悪夢じゃなくて、美しい景色をみせてあげたい、なんて…』

青年『僕にも、そんなこと、できたらいいと、思った、なんて…』

人魚『…少年?』パタ…スイッ


揺れる尾びれが 僕を包み込む
背景には 青く煌びやかな美しい世界
その真ん中に、彼女の愛らしい顔が見える


青年『ああ。やっぱり、君は本当に 綺麗。うん、やっぱりそうだ。僕はただ…』

青年『大好きな 君が、美しく輝く景色を…見ていたかったんだ』

青年『それも、ここまで、だけどね。幸せだったよ…』
89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/08/05(火) 17:30:22 ID:gDff9vYs

人魚『…少年に、いいことおしえてあげるの』

青年『…なに?』

人魚『亜種のハーピーは、変化しても亜種の人魚なの』

青年『……?』

人魚『不老だけど、不死じゃないの。能力値異常みたいなの』

青年『それ、って…』

人魚『私も、すぐに逝くから。向こうで、待っててほしいの』

青年『……はは。うん。待ってるよ。すこしだけ先で、君を待ってる…』

人魚『うん! また、美しい景色を見せに連れて行ってほしいの!』



青年『…ああ。そこでも君は きっと 綺麗なんだろうなあ…』


――――――――――――――――――――――
おわり





少年「美しい景色を君に見せたい」 ?「…ぴゃぁ」
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テーマ : 2ちゃんねる
ジャンル : サブカル

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